第33話 新制日本

「各県の首長からの推薦で出てくると、紐付きにならないかね」

「かといって、議会なんぞを作ると、また無駄な金が必要だぞ」

「そうそう。上に上げて、とんちんかんな答えが法となって降って来るのはやめてほしい」

 会場で皆が頷く。


「もうあれだ、持ち回りの任期制にして、議長を代表にすりゃ良い」

「専任の大臣は必要ないのか?」

「それはもう、専門の役人が上がれば良いだろ。訳も分からず就任をして、引っかき回すのはやめてほしい」

「それなら、監視組織が必要だな」


 とまあ色々決めていく。


 すべてが暫定だが、やってみようと言うことで決め、駄目なら変更。


 大きく変わったのは、自国は自国で守ること。

 今現在、誰も手助けはしてくれない。

 それどころか、国境線は現時点でも大きく書き換えられている最中だ。

 力がある国は、周囲を切り取りまくっている。


 その辺りは、報告をあげている。


 そう、予想以上に、今世界は戦乱の最中に居る。


 そして、理不尽な一方的な暴力が来ることも知った。

 これは人の心を大きく変えた。


 日本は、日本国として一応布告する事に決めた。

 今やっと、国として復活をした。


 だがそれが広がると、魔導国と、勝手に冠が付いた。

 スピリットワールドと呼ばれたから魔界か?


 各国に配布並びに、販売をしているマジックアイテムが原因だろう。

 入手したところが分解し、解析できなかったようだ。


 そうして、さらに一年。

 世界中の到る所で、守ってくれ、日本の植民地で良いと言い始めるところが出始める。


 モンスターの脅威から守るため、城郭都市のようなものができはじめていたが、力なきものは俺達を頼ってきた。


 きちんと調印して、日本国の州として登録をする。


 そして、不本意だが戦闘も起こる。

 だが結果的に、相手も吸収して、登録をされていき、地図上にシミのように日本領土が広がっていき始める。


 絶対君主的なシステムを取ったところも、ほころびができはじめる。

 暴力による支配領域の拡大は、内部で反乱を起こし、食料庫などが襲われる。


 自滅し、流民があふれる。


 そこを吸収。

 生活の安定。それだけで、以外と落ち着きをとり戻し、社会性を取り戻す。

 法の、遵守と生活の安定。それを徹底する。


 トランスファーチューブに、ゲートを組み込み距離をなくす。

 これにより、すぐに救援を送ることが出来る。


 ファジェーエヴァの移民も数を増している。

 当然、その土地は自治区として登録をして繋いでいく。


 気が付けば、北半球の気候が良いところは、日本となっていた。


 機械化して、人手を掛けないプラント化。

 サービス業が復活をして、生活を安定。そして充実をさせていく。


 そう、某大戦前の日本より、影響範囲が広くなっていた。


 

 その頃、ファジェーエヴァでは、暴走が頻発し、混乱はひどくなっていた。

 魔のものが、拡散し、自動化システムを乗っ取り、機械兵を勝手に増産していく。


「シールドが破られた。退避」

 防衛側のシステムも影響を受ける状態では、分が悪い戦いとなっていた。

 味方が味方に対して勝手に攻撃をする。


「光希様を呼べないか?」

 そんな話が広がっていく。


 困った末、代表エイミーは通信を送る。

 現状を詳細に記述して。


「母星、ファジェーエヴァが死にかかっている? お前達はそう言ってこっちに来たのだろ」

「それとは違うのです。システム全体を、何かが乗っ取っているのです。にゃ」

「ちがう?」

「そうです。説明によると黒い霧のようなものがまとわりつき、システムに異常が起こる。光系列の魔法が効くようなので、闇と呼ばれているものです」

 シーヴとアデラが訴えてくる。


「それでどうしろと?」

「ファジェーエヴァへ、勇者として来てくださいとお願いが来ています」


 光希は考えるが、息吹も飛び回っていたおかげで、見事に大学を滑って浪人中。

「皆で行くか」

 そう、メインの五人。


 チームとしては丁度だろう。


 さっさと、準備をして、宇宙船へ飛び乗る。


「じいちゃん。何処へ行くんだ?」

「内緒だ」

 シーヴとアデラは当然知っているが、口止めされている。

 息吹と杏は、目的地を知らずに連れて行かれる。


 まさか、いきなり最終決戦的な場所へ行くとは、光希も知らなかったが、新生勇者グループは、ファジェーエヴァへと到着し、歓迎アンド、壮行会が開かれる。



 そして、管理コンピュータマザーの変わり果てた姿、魔王と相対することになる。


 闇の魔導アーマー数万体。

 対するのは、五人。


「どう考えても、おかしいニャ」

「仕方ないだろう。機械関係は、寝返ってしまうんだ。弱い奴らは居ても、死ぬだけだしな」

「それは、そうですけれど」

 物理的な鎧や、単純な魔導具は大丈夫なので装備している。


 鎧に剣。

 最新型機械対中世の騎士という構図。


 離れた所からは、中継もされており。

 衛星軌道上から、開戦の挨拶とばかりに、高出力の聖魔法が降りそそぐ。


 白く塗りつぶされた世界をいま、走り始める勇者達五人。


 だが地中から現れた、ワーム系攻撃ロボ。


 いきなりのピンチ、どうなる……

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