第30話 流れに乗って

 おかしな景色を見ながら、テーブルに着く。


 良くある社食とか、学食とかそんな感じの食堂。

 久しぶりにまともな食事だが、余り入らない。

 食べたいのに、体が受け付けない。

 周りの者達も当然そんな感じだが、涙を流しながら、ゆっくりと食べる人も居る。

「そうか、盗られないんだ。ゆっくり食べよう」


 流石に人数が多く、食べた者達は、速やかに食器を食器返却口へ返す。

 ゴミは、分別してナイフやフォーク、スプーンは専用のシューターへ。

 食器は、トレイに乗せたままコンベアーヘ乗せる。

 子供達はおもしろがっていたが、良くある作りだ。


 休憩室案内と書かれた所へ向かう。

「ご家族ですね。こちらから鍵を取ってください」

 鍵というのはカードだった。

「その部屋番号へ向かってください。立ち入り禁止には入らないでください」

 案内板に従い、向かって行く。


 部屋は、六人部屋で二段ベッドが三方向に取り付けてある。

 中央にテーブルと三人掛けソファーがテーブルを挟むように両側にある。

 入り口の両側が水回りやクローゼット、左側にキッチンまで付いている。

 右は、ユニットバスとトイレ。


「完全な個室だ」

 それだけで嬉しい。

 今までは、広間に雑魚寝。

 物を盗まれるので、落ち着いて寝られなかった。


 家族全員でお風呂に入り、その後、ゆっくりと休む。

 だが、子供達がさみしがるため、結局全員が一つのベッドで休む羽目になる。


 目が覚め、やはり窮屈だったのか、こわばる体を伸ばす。

 最初に書かされたアンケートは、エアシューターで送っておいた。


 そのため、到着予想時刻がモニターへ表示されている。

 注意書きにあった都市名。

 下記都市以外を記入ください。

 その文字で、かなり絶望を受けた。


 実家がある住所を記入したが、どんな生活…… そもそも生活はできているのだろうか?


 さてさて、北海度から順に回り始めたが、親族がいなかったり追い返されたり色々と時間がかかり、最後には、此処つまり船で住むと言い始める人たちが増える。

 むろん、親の家で迎えられたが、生活の現状を聞いて諦めたりすることも多かった。


 船にいた、神谷という人が、村や町の取りまとめをしている人と話をしていく。


 今回降りた人の家に工事を行い、一軒のみ復旧させると周りからも当然声がかかる。

 待っていると、担当者が来て契約がまとまっていく。

 だがまあ、一旦青森辺りで艦内放送がある。一度、あなた方を宿舎へご案内します。そして、順にご案内をします。

 地域の復興と、同時にしていると、出席日数。いや非常に手間がかかりますので順に処理いたします。


 そうして、四国の山の中。視界に突然現れた、近未来的な町へと降ろされた。

 見たことのない形の家。

 周りにいるのは外国人ばかり……

 あのしっぽはなんだ?


 そして、その後。生活をしながら、状況を知る。

 今私は、両親の住む実家周りの復旧を担当し、流通などもとりまとめる仕事を今している。

 子供達も学校へと行くことになった。

 人に感謝される仕事は、やりがいがあって嬉しい事を知った。

 苦労をしたから、話が出来所もある。

 色々奇妙だが、頑張っていこう。



「いろいろと、おかしいわよ。思わない?」

「思うが、気にしちゃあ駄目だ」

「お隣さんのしっぽ。本物だったわよ」

「やっぱりな。耳も動くんだよ」

「あれって……」

 思わず奥さんの口を封じる。


「だけどさ、すみれと仲良しなカルミネ君。良い子じゃないか」

「しっぽあるけどね。おれは、白狼族だって言っていたみたい」

「へー色々な人種がいるんだな」

「それに、魔法も習っているみたい」

「最近使えるからな。危険が無いように子供のうちから……」

 奥さんにじっと見られる。


「あなた。何を知っているの?」

 思わず目が泳ぐ。


「うーまあ。ここだけの話。彼らは、ファジェーエヴァと言う星からの移民だ。なぜか、地元にいる人が、昔勇者として、向こうに召喚をされていて、向こうが頼ってきたらしい。あの宣言と攻撃は、制御コンピューターの暴走らしくて、彼らも困っているって」

「やっぱり」

「驚かないの?」

「驚いたけれど、やっぱりという感じ。獣人さんて、子供が出来るのかしら?」

「さぁ?」



「よーしよしよし。皆が食いついたし」

 嬉しそうなのは、むろん息吹。


「もう。そっとしておきなさいよ」

「だけど見てみろよ。後藤の奴なんか、ジャケットまで着込んで軽トラに乗って」

「今のそうなの?」

 軽トラなどは、業務用なので優先的に改造をされている。


「車という事は、ダム辺りかな?」

「あそこ、ボルダリングとかあるし、そうかな? でも、カヌーとかラフティングとか?」

「釣り堀もあるぞ」

 そう、以外と色々ある。


 時期によっては、ミカン狩りとかリンゴ狩りもあったはず。

「追いかけるか?」

「ヤメなさいよ」

 今居るのは、山の上。

 監視小屋が改造されて、コテージふうの別荘が建っている。

 此処に来るには、歩きか、ヘリ。

 もしくは、小型機だ。


 最近俺用に、専用機を造って貰った。

 全方位スクリーン。空中に浮いているようで気持ちいいが最初は怖かった。

 今俺達は、デート? の真っ最中で、休憩中。

「遊んでいないで、集中して」

「ほーい」

「あんっ」

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