第25話 計画と、闇の浸潤。

 そして、海外……


 第一弾は、いくつかの町が、姉妹都市提携をしているカナダへ向かう。

 すでに輸送船を利用して、いくつかの町へ、復興支援はしている。

 すぐに気が付いただろうが、輸送船で現地に行って、小型ヘリで各地の町へ赴いた。

 入国やその他については、今回聞かれなかったようだ。

 一度、かがで来たのか? と聞かれたそうだ。その時の町長は知らなかったようだが、『かが』は海上自衛隊の軽空母だ。



 そしてその時、ある町の町長は、警官に命令する。

「あの小型機で遠くから来るのは不可能だろう。どうやって来ているのか探れ」

 彼は野心家で、国が機能していない、この状態なら俺は王になれる。


 そうして、何時も来る方面に警官をばら撒いた。


「下。生命反応があります。着陸点変更」

 当然こうなる。


「物資を運んでくる奴を捕まえろ」

「はっ」


 いきなり周りを囲む警官達。

「なんだ一体?」

 最初に挨拶をしに来ただけで、その後は、町長達は来ていない。

 翻訳用の魔導具と、個人防御用魔導具。


「日本と違い、海外はすぐに撃つからな」

 そう言って装備させられている。


 装備の性能は知っているし、何かあったら帰ってこいと言われている。

「君を逮捕する」

「なんで?」

「知らん。町長の命令だ」

「判った。じゃあ援助は終了。規定数には達していないが契約は現時点をもって破棄された」

 この会話は、ヘッドセットにより輸送船にも繋がっている。

 そして、他の町に向かっているヘリにも。


 物資を渡していた手が止まる。


「うん。どうした? 山本」

 ハリーに向かって、掌を向ける。

「どこかの町が、俺達に向かって攻撃をしたようだ。撤退命令が出ている。すまないがここまでだ」

 そう、物資の配給が止まった。


 カナダは産油国でもあり、早い段階で復興は行っていたが、最初の寒冷化。それによる被害がひどかった。カロリーベースで二六六パーセントの自給率を誇っていたカナダだが。現在でも、例年に比べて寒い日が続いている。


 今回も、小麦が中心で依頼が来ていた。


「おい今度、トラウトを釣りに行くんだろう」

「悪い」

 そう言ってヘリは去って行った。


 だがまあ、町に奇妙な形の衛星通信機は残していったようだ。

 原因究明をして、連絡をしなければ。


 奇妙な形の衛星通信機。そう招き猫。形状的に手が招かず、たぐる方向ではあるが招き猫だ。


「何処のバカだ」



 そして、話が見えてくる。

「市長に言われて、逮捕をしに行った。だが奴は動じず、普通に帰ろうとした。だから誰かが撃ったんだ。だけど、弾は空中で止まってしまった。奴らは日本人の振りをした何かだ」


 むろん、あらかじめ旋回させていたヘリで、すぐに追いかけた。

 だが、空中でいきなり消えてしまった。


 そして、ヘリのターボシャフトエンジン。燃焼がいきなり止まってしまった。

 むろん、オートローテーション着陸で着陸は出来た。

 だが、電装系が復活しなかった。


「奴らがいなくなるまでな」

 彼は見た。空を飛ぶ大きな船を。


「あれは、スターブレイザーズだった。日本は、宇宙人に対抗するため、帝国日本の戦艦を宇宙戦艦に改造したんだ」

 そう言って警官である、ボブは頭を抱えた。


「それなら、すぐに大型ロボットが来るぞ。日本だからな」

 カナダ人は意外とジャパンカルチャーに明るいようだ。

 ブリティッシュコロンビア大学にも、アニメクラブがあるそうだ。


 まあ、輸送船を組んだときに悪ふざけが入っただけ。

 輸送と考えると、無駄以外の何者でも無い。

 ただ飛ばしたかった。光希がしみじみ言った言葉。

 それだけである。


 某軍の白い悪魔も、ゴーレムだが、密かに運用されている。


 周りの町から突き上げられ、町長は職を追われた。

 だが、この手の男は執念深い。


 事情が説明され、再開された輸送。

 そのヘリに向け、アドバンスト・スティンガーなのか、ミサイルが撃ち出される。だが、爆発しても変化しない。


 ただ進行は止まり、その場でホバリングをする。

 攻撃を受けているヘリとしては、完全に悪手だ。

 だが、ヘリ側も予想はしていた。速やかに警察に連絡が行く。


 動画を撮りつつ追いかける。


 だが元市長レオポルト=リュッカーは仲間を集めていたようだ。

 車が、二台に分かれ走り始める。


 すると、ヘリの脇に、光学迷彩の小型機がやって来る。


 魔導推進機。この機は完全に無音。


「後は任せろ」

 無線が入る。

 姿を見せていないが、周りに何機かいるようだ。


 そう言った後、その機も空中に溶けていく。


「俺もあっちに乗ってみたいな」

「誰でも乗れるぜ乗ってみるか?」

 戦闘機乗りである、ティホ=ヴィルベルト=クィンテン=ヘルブラントは、人なつっこい笑顔で誘ってくれたがその時は断った。


 だがかっこいい。

 あれも、戦艦とセットで造ったお遊び機だ。

 彼らの本来乗っている機は、もっと薄いがマカロン? いや、どら焼きのような形状をしている。

 内部は、魔法で広がっているとのことだ。


 今回、あの機を造ったとき、なんでこんな無駄な構造をと言ったらしいが、勇者様にロマンだと言われたらしい。

「勇者様って誰だよ」

 そもそも、地球人がなぜ勇者??

 そう思いながら、今日も彼は配達に行く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る