第24話 憂鬱

 いきなり始まった復旧で、どこもかしこも、祭りになっていた。


 そんな中で、ふと考える。

 この技術はどこから?


 だが、それは聞けない。

 いきなりもたらされた、高知の山中から発生した技術。


 確かに魔法が使えるという話は、異変後に出てきた話だ。

 三ヶ月に及ぶ暗黒の日々。


 その後の絶望と、現実というさらに厳しい事態。

 何とか残った資源を食い潰し、生活を復旧させようと奔走をした。

 だが手はなく、復旧は進まなかった。


 そんな中、脳天気な町の担当者が、改造ヘリでやって来た。


 そして見せられた、山の中に現れた、町。

 基本的なライフラインは廃され。独立型で復旧し、生活さえ持ちなおしてきていた。


 そして、一部分では時代がバグっていた。


 確かに、チューブタイプの列車は、過去色々なところが構想を打ち出していた。

 だがそれが、すでに運用されていた。しかも、小型カプセルタイプ。

「あれはいい。移動中のプライベート空間が保たれる」

 そして、ちらっとしか見ていないが、コスプレをした女の人。

 だが、そのしっぽは、感情により揺れていた。


 言いはしないが、答えは一つだろう。

 世界をこんなにした本人達が、しれっと助けに来た。

 ならば、復旧後…… 糾弾をすれば良い。


 幾人かの 勘の良い者達はそう考えていた。


 すると、物資と共に噂が流れてくる。

 宣言をした例の宇宙人。彼らの放っていた、完全自動型の生活可能惑星探査船の制御コンピューターが暴走をした。

 予測不能の事故。

 向こうも困った末に、手を差し伸べ始めた。

 そんな噂が。


 そんな事で……


 事情を聞いた首長達は、悩む事になる。



 だが、市民、町民。

 目の前で見える復旧の喜び。賞賛の声。

「あんた見直したぜ。次の選挙も票を入れるぞ」

 次の選挙があるかは不明だが、喜ぶ顔の影響は大きい。


「まず目の前の事。悪魔とでも手を結んでやる」

 彼らは、腹を決めたようだ。



「今日はだるいな」

 授業での第一声。

 そう先日。酒を飲み。いちゃついている生徒達を見てしまった。


 先生は、まだ独身。

 鈴木 啓二すずき けいじ三十二歳。他人のイチャラブが、胸に応えるお年頃。


 顔はまあ普通。身長が百七十二センチくらいあり、少し痩せ型で、同じ物を着ているのは最近になるとちょっとあれだが、まあ洗濯はしているようだし……


 賢いし、以外と目端が利く。

 ただ、少し性格が悪い……

 あーいや。素直じゃない。

 きっと好きな子を、虐めるタイプだったのじゃないだろうか?


「もう。授業はどうします? 一応、大学も復旧をして、新入生の受け入れが始まっているので行きたいのですが」

「そうか。知識は重要だ。それは良く分かっている。だがな、人生それだけではいけない。三十を過ぎてやっと悟ってしまった」

 見かねて手を上げる。


「なんだ、ハーレム王」

 いきなり先生の表情が消える。いつの間にか、名前を変えられているし。

「なんでハーレムなんですか?」

「考えてみろ、自分の周りを。妙に血色が良くなり、色っぽくなった山野 杏」

 びしっと指さされる。


 その指が、行き場を無くし俺に向く。

「シーヴ=マリア…… あー。 シーヴちゃん」

 長くて覚えられなかったな。


「それに、アデラちゃん。そして、俺は見た。少し垂れ目で色っぽい目をしたマーリアちゃん。あの亜麻色の髪。瞳はブラウン。丁度良い身長一五八センチくらいの身長。日本人にはいない、あの体型」

 そう言って先生は、うひひという感じで、妄想に入る。


 ジーンズをはいていたが、長い足と、きゅっと持ち上がったお尻。

 そして、立派な胸。

 いつか昔。雑誌のグラビアか何かで見た。若き日の先生が憧れた人物。それが、現実に目の前で動いていた。むろん本人とは絶対違うが。


「マーリアさんですか? あの人は、探査せ…… 少し技術的な事で話をする知り合いですが、先生も、こちら側の代表でしょ。紹介しますよ」

 そう言うと、いきなり機嫌が良くなった。


「じゃあ、授業だ。張り切っていくぞぉ。特別問題。この問題は東京大学理科三類で出された問題だ。偏差値七十七程度は必要なようだが、皆が解ければ偏差値は五十になる。頑張れ」

 そりゃ、そうだ。


 マーリアの名前が出た途端に、すごい顔をして睨んでいた杏。先生に紹介すると言ったら普通の顔になった。

 最近、殺気ではないが覇気というか、母親のような圧力がたまに出るな。

 よく、女の人は子供を産むと、母親へとジョブチェンジして、各種パラメーターが三百倍くらいになると聞くが、本当のようだ。幼馴染みから恋人になった。それだけで随分変わった。


「そこでだな、此処にあるおっぱいと残り。この左右の式だが、部分通分により十分に刺激してやると、一気に判りやすくなる」

 先生。授業に妄想が混ざっている。πパイだろ。


 まあいい。

 この週末に予定されている、第二弾工事に先生も連れて行こう。


 次回も一万人と言うつもりだったが、評価報告が行き二万人へと急遽拡大された。

 次からは、別の県にも話をして選定をしないと駄目だ。


 そして海外へも。全部受けるのは無理だからな。

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