第23話 移住者達と新たなる星。

 星が駄目になり、移住をしようと言い始めてから、十数年。

 やっと見つかったようだが、土着の生物がいる。


 そこで、いきなり政府からの発表が止まる。

 だが、再び計画は止まっておらず。進み始める。


 ふいに案内があり、集められた会場。そこで、思いもしない事実を告げられる。


「おめでとうございます。あなた方は、厳正なる抽選の結果、第一次移民船の搭乗審査に合格いたしました」

 壇上の、司会者が告げると、歓声が沸き起こる。

 ピッと手が上がる。すると歓声が静まる。


 彼女は、一息水を飲み。静かにそれをおくと、語り始める。

「行く前に、覚えていただく事実があります。マザーが管理する探査船が、その星を発見時。いきなり攻撃を開始して、現地人の住まう主要都市を破壊いたしました。被害は数十億人となっています」

 惑星ファジェーエヴァの住人と、同程度の人をいきなり殺した?


「おい、それは……」

 どこかで声が上がるが、それにかぶせて発表は続く。

「そして、当然ですが、その星は今現在、混乱をしております…… ですが。―― その星で、我らは発見をいたしました」

 もう一度、言葉を切り、水を一口。


「過去、この星に現れ、危機を救い。指標を示してくれた勇者…… 光希様を」

 それを聞いて、感嘆の声とざわめきが広がる。


「事象を超えた転移のために、お年は召していらっしゃいますが、現在でもご存命でした。―― 我らは再び、光希様のご指導の下、融和的に彼らの中に混ざっていくという選択をいたしました。―― そうです。それがあなたたちです。争う事なく仲間として移住を行ってください。これは光希様の望みでもあります。下手に対立をすると、彼らは…… 死に絶えるまで。そう、最後の一兵まで彼らは戦うそうです。行動に責任を持って、我々のこれからのために、行動をよろしくお願いいたします」


 そう言って、地球へ送られてきた者達。

 生活に慣れると、少しずつ町へと出歩くようになった。


「随分、田舎だよな」

「しっ。都会はマザーが……」

「そうだった。失言だ」

 回りを伺うが、誰も聞いていないようだった。


「だが、町並みは中世の様じゃないか」

「そうだな、木と石で組んである。道は、砕石を何かで固めているようだな」

 町中は、電気社会で魔導具が無い。

 その辺りも懐かしい。


 そう言ってゆったりと歩く二人の横を、時速百キロほどで男女が走っていく。

「馬鹿。エッチ。町中で触るなんて。息吹こらぁ」

 そんな事を叫びながら……


「さすが、光希様の住まう星。同じように見えるが、普通じゃないようだ」

「そう言えば、説明の時。最後の一兵になろうとも、諦めないとか言っていたな」

「ああ。気を付けよう」

 その事は、ニュータウンで共有される事になる。



「あのニュータウン。随分近代的ですな」

「話を聞くと、ドラゴンとかが来たときには、あの形が良いんだそうだ」

「ドラゴン? そんなモノが?」

 町長と副町長の目が丸くなる。


「ダンジョンにはいたからな。その内出てくるかもしれんな。町も作り替えるか? あの家、耐震と耐水が完璧らしいぞ。洪水時には浮くそうだ」

「浮く? それはそれは。予算もありますし、善処する方向で、考えておきましょう」

 そうこの辺りは、標高が六百メートルほどある。

 よっぽどでなければ、水没をしない。


「それに、宅地の建ぺい率も。ゆとりが必要なようですし」

「それはそうだが、やるならピラミッド型に積めるらしい」

「そうなんですか?」

「ああ、生活をするのに面倒だから、基本が平屋になっている様だが、土地はなんなら造れば良いしな」

 そう言われて、あのニュータウンの造成速度を考える。

 思い返せば、わずか、三日ほどで基本は終わっていた。


「そうですな。少し前向きに考えましょう。地権者との話も必要ですし」

 それを聞いて副町長も頷く。


「それで、移住者に対する、職業の斡旋については、どうなるのでしょうか?」

 それを聞くと、光希はにやっと笑う。


「うちの家族に投げてある。基本は錬金術と植物プラントでお仕事だ。両方とも売り上げがすごい。来年の税収はすごいぞ」

 そう言われて、ざっと計算をするが、今ものすごい勢いで設置されている魔導具分はお試しだ。だがまあ、野菜や穀物はすごい勢いで他県に出ている。

 主要部分だけ道路は修繕をした。高速についてはすぐに必要が無くなるし後回しだ。

 そして、モンスターの駆除依頼に対する報酬。


 ざっと計算するだけでも、今までの数十年分はありそうだ。

 そして、県外向けのトランスファーチューブは、今から設置。


 直線で結ぶため、ほぼ四国の中央にあるこの町を起点に、四国の主要都市なら二百キロはないだろう。

 チューブ埋設は、魔導機械により無人で掘削とパイプ設置が出来る。


 そんな計算は、すでに入力された情報によりセットされ、路線予定は出来ているらしい。地球の丸みにより、見通しは直線で四キロに足りないくらい。概算で五キロほどで、二メートルくらい下がるとか?

 

「それは、ありがたい」

 その時、町長は判っていなかった。


 輸送用の車両やヘリの改造。

 ターボシャフトエンジンのヘリは、普通のモーターでは代替できない。

 そのため、組み込んだ魔導具により、強力な風魔法でファンを回す。

 これは飛行機も一緒。

 飛行機は、氷晶防止に火魔法も混ぜてある。


 最近、その手の依頼が非常に多い。


 ちなみに、工作船により、小型の宇宙船も組み上げて、運転手付きでレンタルしている。

 徐々に、付き合いがあった地方へ、復旧の手が伸びて行っているようだ。


 そう、家族会議の決定において。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る