インターハイ2回戦-白岡高校-9

 宮戸のスリーポイントが当たっているため、どうにか阻止しないと。俺がそんなことを考えていると、高宮コーチがタイムアウトをとる。


 また、メンバー交代も行う。


 俺はいったんベンチに下がり、拓斗が代わりに入る。また、智樹の代わりに孝也が入る。


「もっとコートを広く使え。ちょっとペナントエリアに集まり過ぎだ。これじゃ、シュートの邪魔になる」


 高宮コーチは、珍しく厳しい顔をして強い口調で言った。


 でも、確かにその通りだ。


 ペナントエリアに集まり過ぎだ。台形の中に何人もいたら、シュートもできないし、すぐに取られてしまう。


「よし、もっとスクリーンもかけていこう」


 慧が手をパンパンと叩く。


 スクリーンは、味方が攻めやすいようにする。ボールを持っていない選手がボールを持っている選手をマークしているディフェンスに壁を作りに行くプレーだ。


「はい!」


 俺たちは返事をして、コートに向かう。


 といっても、俺はベンチからプレーを見届けることになる。


 俺は拓斗に話しかけた。


「拓斗、行けるときは行っても良いけれど、無理に行くな。仲間を信じてパスを出せ。ポイントガードはアシストするのも大事だぞ」


「はい」


 拓斗はため息をつきながら、返事する。


 大丈夫か。1人で行こうとしなきゃいいけどな。


 俺はそこだけ不安だった。


 智樹も孝也と交代するとき、何かを話していた。


 俺には聞こえなかった。


 コミュニケーションは大事だ。


 試合再開だ。


 城伯高校のオフェンスから。


 拓斗はドリブルをしながら、指で合図する。


 三田は拓斗にしっかりつき、何もできないようにガードする。


 拓斗はターンをして貴へとパスをする。


 貴は、ペナントエリア内でジャンプしてボールを受け取る。そのまま、シュートをしようと考えた。


 そこに嶋田が邪魔をしてくる。


 貴はジャンプしたまま、ボールを右手から左手に持ち替えて、シュートした。ダブルクラッチだ。


 貴のシュートが決まる。


 でも、嶋田と接触してしまった。


 嶋田はシュートさせまいと手を伸ばした。その際に貴と接触して、貴はバランスを崩し、倒れそうになった。


「ファウル! バスケットカウント」


 貴はシュートを決めて、更に1本のフリースローも貰った。


 嶋田はファウル1。


 貴はフリースローラインに立つと、フーッと息を吐いた。

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