インターハイ2回戦-白岡高校-7

 貴が放ったスリーポイントシュートは、綺麗なアーチを描く。


 シュッ


 ボールは、リングの中へ吸い込まれていった。


「フェイクか」


 下田が騙されたと舌を出した。


 バスケも駆け引きだ。シュートを決めていくには、動きを読まれては終わりだ。そのためにはフェイクをして、騙さなければならない。


「ちょっと、落ち着こうか」


 三田が冷静に呼びかけた。


 キャプテンだからなのか、ポイントガードという、プレーの司令塔だからなのか慌てている様子はない。


 かなり冷静だから、俺が平常心を失くしたら、完全にペースは白岡になるな。冷静にいかないと。


 三田はゆっくりとドリブルをして、仲間がしっかりと準備ができるのを待つ。


 三田はフッと姿勢を低くして、ドリブルを早めた。


 1対1か。


 俺は三田にピッタリとついた。シュートを打たせないようにと、どこにでも動ける態勢をとった。


 三田は俺の姿勢を見て、やることを変えた。


 宮戸に速いパスを出した。


 宮戸は迷わずスリーポイントシュートを放つ。


 智樹はしっかりと宮戸についていた。


 でも、宮戸に軽くかわされて、簡単にスリーポイントを打たせてしまった。


 宮戸のスリーポイントは、簡単にフワッとボールを浮かせるようなシュートだ。


 ボールは気持ちの良い音を立てて、リングの中へと入っていった。


 リングの中にシュッと入るシュートほど気持ちの良いものはない。


「やり返してきたか」


 智樹は宮戸にタイミングをずらされて、悔しそうにしていた。


「次行こう、まだ、全然大丈夫だ」


 慧は手を叩きながら、城伯のメンバーがすぐに切り替えられるように、スイッチを押す。


 それにつられて、俺もドリブルをしながら、手で合図する。


「なるほど」


 貴は俺の意図を理解してくれたのか、はじめ、ペナントエリアでパスをもらおうとした。


 俺は首を振る。


 ここでは、貴にパスはしない。


 貴はそのまま、スリーポイントラインまで広がった。


 その後で、慧がパスをもらいに行く。


 俺は慧にパスを出すと見せかけて、貴へパスを出した。


 貴はスリーポイントシュートをすると、嶋田に見せた。


 今度は1対1を仕掛けた。


 ゴール下まで一気に切り込む。良いドライブだ。


 貴はレイアップシュートをする。


 1、2、3のリズムに乗って、ボールをリングに置いてくる。


 貴のレイアップシュートも決まった。


「ディフェンス!!」


 美香が叫んだ。


 貴のシュートが決まった後、すぐにディフェンスに切り替えようと走る。

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