インターハイ2回戦-白岡高校-6

 いよいよ、白岡高校との試合開始。


 ティップオフ。


 審判がボールを上げる。


 ジャンプボール。


 慧と川崎がボールを叩く。


 ボールは宙を舞って、取ったのは貴だ。貴はドリブルを軽くして、俺にボールを渡す。


 俺は広がれと指示をして、ここからプレーを組み立てる。


 貴がディフェンスを振り切って、パスをくれとアピールする。


 貴についていたのは、嶋田。


 貴の足に合わせてステップをんでいたが、タイミングがズレた。


 そのため、嶋田の前に貴がることができて、パスをしやすくなった。


 俺は迷わず、貴に素早くパスをする。


 貴はボールを上げて、シュートすると見せかけて、一度、ボールを下ろす。


 目の前に嶋田がいるとわかっていて、シュートすることをやめて、クルッと1回転する。


 そして、少しズレたところで、ジャンプシュートをした。


 ペナントエリアでのシュートだ。


 台形の中での範囲をペナントエリアと呼ぶ。そこからのシュートは、今の男子バスケ日本代表がスリーポイントと同じくらい重視している。


 貴のシュートは見事に決まる。


「ナイシュー!」


 俺は貴とハイタッチした。


「さぁ、ここ、ディフェンス行くぞ」


 貴はフッと笑う。その表情は楽しそうだ。緊張が吹き飛んだみたいだ。


「まだ、始まったばかりだ。ここから行くぞ」


 三田がドリブルしながら、声をかける。人差し指を立てながら、肩よりも高く上げる。


 1本行こうという合図だ。


 負けてられないな。


 俺は三田につき、置いていかれないようにピッタリとくっつく。体を密着させて、何もできない状態にする。


 三田は強引に宮戸へとパスをする。


 そのパスは雑になっている。


 そこを狙って、宮戸についていた智樹がボールを奪った。


「ナイス、スティール!!」


 ベンチから、美香の声が響き渡った。


 智樹はそのまま、ドリブルから、レイアップシュートをしようとした。


 リングにそっとボールを置いてくるつもりだった。


 早く戻っていた下田にブロックされると読み、智樹はパスに切り替えた。


 貴にパス。


 貴はスリーポイントラインにいた。


 ラインをしっかり確認すると、貴はスリーポイントシュートを放つ。


 ボールは綺麗にアーチを描いた。

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