インターハイ開幕23
178㎝という身長から、普通であれば、あり得ないジャンプ力を見せつけた貴。
その、あり得ないジャンプ力でダンクシュートを決め、会場が湧いている。
興奮冷めやらぬといった雰囲気だ。
そんな中での、三ツ谷高校のオフェンスは、非常にやりづらい。
声援のプレッシャーもあるかもしれない。
城伯高校は、インターハイでは名前も知られていない、初出場チームだ。
そんなチームが、インターハイ常連校の三ツ谷高校を相手に接戦している。
この試合を目の当たりにしている会場は、一気に城伯高校に注目している。いつの間にか、城伯高校を応援する声が増えている。
会場の雰囲気にも、三ツ谷高校は飲み込まれてしまっている。
実際、吉村が野崎にパスをしようとして、快がスティール。ボールを奪って、豪快にダンクシュートを決める。
また、市村が立川にパスをするも、これも智樹にスティールされる。
智樹はスティールして、そのまま、レインアップシュートを決めた。
三ツ谷高校は単純なミスが増えていく。
会場も城伯高校と一体化したようになっている。
この状況は、まるで、2023年に開催された、男子バスケのワールドカップを思い出させる。
「城伯高校、すげー! こんなに強いチームだったか?!」
「なかなか、城伯高校は手強いぞ」
「城伯高校は、高宮ヘッドコーチの元でやっているから強くなったな」
様々な声が、俺たちにも聞こえてくる。
「凄い声援……こんな経験も、なかなか、なかったよな」
慧は、ベンチから応援している観客を見て、感動しているようだ。
「いっけー! まだまだ!!」
慧は叫んだ。
その声は俺たちにも届いている。
「よし! 絶対勝つぞ!!」
コートに出ている城伯高校のメンバーで円陣組む。俺が大きな声で勝つぞと叫ぶと、4人が返事をする。
「おおぉぉぉぉぉ!!!!!」
そして、5人全員で拳を突き上げた。
一方で、元気がなくなっている三ツ谷高校に初めて、
「試合はまだ続いてるんだぞ! もっと元気出せ!! もう諦めたのか!?」
今まで静かに見守っていた岡山ヘッドコーチは、チームを奮い立たせようとしていた。だけど、正直、城伯高校の強い気持ちと気迫には驚かされている。
城伯高校のオフェンス。
三ツ谷高校は動揺しているか。
灯が野崎を簡単に抜いた。
そのまま、シュートに行こうと考えた灯。でも、ジェームズが、シュートをさせないように壁を作っている。
灯は智樹のほうを見る。つられて、ジェームズは智樹にパスを出すと思ってしまった。そのため、わずかに、灯とジェームズにズレが出た。ミスマッチ。
隙をついて、智樹を見たまま、灯は俺にパスをする、ノールックパス。
灯のノールックパスは、俺も想像していなかったが、しっかりとパスをもらう。
そして、スリーポイントラインより1メートルくらい遠いところだったが、シュートを放った。ディープスリーだ。
綺麗な弧を描いたボールは、シュッとリングの中へ。
「よっしゃー!!」
リングに当たらず、そのまま、シュッと入るシュートは気持ちがいい。
俺はスリーポイントを何本打って、何本成功したのだろう。多分、過去イチの成功率だ。
この勢いのまま、城伯高校は更に得点を重ねていった。
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