インターハイ開幕13

 慧のファウルで、市村にフリースロー2本が与えられた。


 市村はフリースローを2本外して、城伯高校のスローインからゲームが再開した。


 灯からボールを受け取ると、俺はすぐに智樹にパスを出した。


 智樹はドリブルでゴールまで走っていく。ドライブだ。


 智樹はそのまま、リングにボールを置いてくる気でいた。レインアップシュート。でも、急にパスへと切り替えた。


 吉村がシュートブロックしようとしていることに気がついたからだ。


 智樹はジャンプしたまま、俺にパスした。


 俺は智樹からボールを受け取ると、スリーポイントラインを確認する。


 市村が目の前にいる。


 何で既に勝負するかは決まっている。


 俺は一度、シュートするぞと見せかけ、やめた。


 その動作で、市村は反射的にジャンプしてしまった。


 市村がジャンプしたタイミングをずらして、俺はスリーポイントを放つ。


「スリー!!」


 吉村が叫んだ。吉村の声に三ツ谷高校のメンバーがリバウンドを取りに、城伯高校のメンバーを抑える。ボックスアウトだ。


 シュッ


 スリーポイントは綺麗に決まった。驚いたのは、ネットを揺らさずにボールがリングに入ったことだ。普通、リングに当たらずに入っても、ネットは揺れるものだ。


「凄い、綺麗なスリーポイント!」


 俺が呆然としている隣で、市村が素直に言葉にした。


「おぉぉぉぉぉ!! なんだ、城伯の5番、スリーポイントが止まらねぇじゃん!」


 観客の声が響いていた。


 完全に今日の俺はおかしいくらいにスリーポイントが入る。油断はしないほうが良いが、自分でもこんなにスリーポイントが成功するとは思ってなかった。


「これは凄いな」


 立川はスリーポイントが何度も成功していることに、俺を見ながら拍手した。


 俺はなんだか恥ずかしくなった。スリーポイントが何度も成功することで、こんなにも会場が盛り上がるとは。


 ここでまた気を引き締めないと。油断したら終わりだ。


 さぁ、ディフェンスだ。まずは三ツ谷高校の攻撃を守らないと。


 俺は市村につく。


 市村は立川にパスを出す。


 立川はゴール下のシュートを試みるが、慧がそれをさせない。


 今、シュートをすれば強引なシュートになり、下手するとオフェンスファウルになってしまうと考えたか。立川はパスを選択した。


 立川から吉村にパスを出す。


 吉村は、迷いなくシュートを放った。そのボールはリングの中へ。


 ただ、そのシュートはスリーポイントではない。審判が指で2得点と合図したことで、立川はスリーポイントではないと気づいた。


 スリーポイントラインを踏んでシュートをしたらしい。スリーポイントラインを踏んでシュートをすると、3得点ではなく2得点になる。あくまでスリーポイントラインより外側から、シュートをしないと3得点にはならない。


 今のは俺に判断させてくれないくらいの速さでパスを繰り出してたな。今は今。もう一度、集中だ。次はオフェンスだ。オフェンスに集中しよう。

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