インターハイ開幕11

 市村の手が滑って、ドリブルをミスり、ボールを奪った俺は、レインアップシュートをした。


 市村は自分のドリブルミスで、シュートを奪われて、更に心理としては動揺しているみたいだ。


 自分自身を責めている。


義人よしと、自分自身を責めるな。もし、何かあっても俺たちが、カバーする。俺たちはチームなんだぜ」


 立川が落ち込む市村の肩を抱き、心強い言葉を放つ。


「あぁ……そうだな。サンキュー」


 市村は無理矢理、笑顔を作る。


「よし、オフェンスだ」


 立川は市村に気合を入れるために、背中を強く叩く。


「いってぇ」


 思ったより痛かったようで、思わず口にした市村。その様子に立川は、笑っていた。


 市村はボールを持つと、金田にパスを出す。


 金田はドリブルをして、様子を見る。


 パスは通せそうにない。


 金田は自分でドリブルし、シュートまで持ち込もうとした。


 だが、それもできそうではない。


 灯が金田の進行を塞ぐ。


 もう一度、周囲を見回すが、パスもできない。


 判断が遅れた間に、貴もやって来て、灯と貴で金田をマークする。


 ダブルチームで来られたら、更にドリブルで進行することも、パスすることもできない。


 迷っているうちに時間が無くなっていく。


 ブー


 ブザーの音がなった。


 24秒ではなく、2クォーター終了の合図だ。


 10分のハーフタイム。


 俺たちは水分補給をして、少し休憩する。


 休憩しつつ、声を掛け合う。


「今、三ツ谷は乱れてる。流れはこっちに来てるから、この流れを持っていかれないようにしよう」


 慧が声をかけた。


「そうだな、それと、とにかくスペースを空けよう。スペースが空けば、いろんなプレーができる」


 俺がつけ加える。


 メンバーは頷き、返事をする。


 まだまだ油断はできない。


 バスケというものは、一瞬にして流れが変わってしまい、得点が全く取れなくなってしまうこともある。


 2クォーターが終わった時点で、55-60と城伯高校は5点ビハインドだ。


 この得点では、あっという間に差が開いてしまう。


 だからこそ、これ以上、差を開かれないようにしたい。


 俺は汗を拭きながら、後半に向けて、プレーの組み立てるかを考えていた。


 尋常じゃない汗が出ている。


 それだけ、一生懸命走っていたということだろうか。


「まだまだ、逆転できるぞ。城伯のバスケをしよう」


 高宮コーチは、それだけ言って手を叩いた。


 残りの時間はシュート練習をする。


 シュートフォームをしっかり確認しながら、練習する。


 10分のハーフタイムも終了。


 3クォーターが始まる。

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