インターハイ開幕2
インターハイ当日。
誰もが初めての経験。そのためか、俺たちは緊張気味だ。
普段、あまり緊張しない灯でさえも、表情が硬い。
体をほぐせば、少し緊張は和らぐはず。
そう思って、ウォーミングアップを早めに始める。
それぞれが、体をほぐしてリラックスするために、音楽を聴いたり、楽しいことを話したりしていた。
俺は瞑想を。俺にとって、リラックスするには、瞑想がいい。
それぞれの時間を過ごし、俺たちはコート入りした。
いよいよ、始まる。
数分、シュート練習をしてから、ミーティングをする。
対戦相手は、初めてのチーム。
どんなチームだか、よくわかっていないため、どんな展開になるかは未知の世界。
一応、研究はしつつも、実際、データだけでは、わからないものがある。
データ以上のことをする可能性もあるから。
だからなのか、今までにない空気だ。
それに観客も大勢いる。もちろん、高校生の応援団、ベンチに入れなかったメンバーなどが中心だが。
それでも、今までの予選とははるかに違う雰囲気。
また、何が違うかというと、バスケ協会関連の人や報道陣がいることだ。
注目する選手たちをピックアップして、ここから、プロ選手として活躍できそうな選手を選ぶのだろう。
もちろん、インターハイの試合だけで決まるものではないが。
「とりあえず、相手は速い展開をしてくる。粘り強くディフェンスしよう」
高宮コーチの声に、俺たちは返事をした。
スターディングメンバーは、樹、慧、智樹、灯、貴。
三ツ谷高校のスタートは、
ジャンプボールで試合開始。
ボールを取ったのは、市村。市村から吉村へパス。
俺たちもすぐにディフェンスにつくが、遅かった。
きちんと着く前に、吉村がノーマークになり、シュートを放つ。
いきなり3ポイントシュートを決めてみせた。
まるで、挨拶がわりにと言っているようだ。
「よく、ここまできたな。正直、知らなかったよ。城伯高校」
吉村はニッと笑う。
その笑みの意図するものは何か。
俺にはわからないが、ここで怯んだら、それこそ、俺たちの負けだ。
「悪かったな、対戦相手が名も知られてない高校で」
吉村の言葉に反応したのは、智樹だった。同じぼジョン、シューティングガード。主に3ポイントシュートが中心。
同じポジションとして、負けたくないのかもしれない。強い意志が感じられる。
また、ちゃんとディフェンスにつくことができず、ノーマークにしてしまった自分に悔しさがありそうだ。
智樹からパスがきた。
俺についている市村との距離はある。
打てなくはない。俺は3ポイントを放つ。
でも、失敗。
ボールはリングに弾き返される。
立川がリバウンドをとって、市村にロングパスをした。
市村はしっかりと受け取ると、そのまま、ボールをリングに置いてきた。
レインアッブか。ノーマークで、しっかりと決めていた。
攻撃の切り替えが速い。俺たち、城伯高校が、ディフェンスに戻れない。
「まだ、始まったばかりだ。これからだ!」
灯がチームに声をかけた。
「よし!」
俺は気合を入れ直す。
ドリブルをしながら、空いているところを探す。
慧のところが空いている。
俺は慧にパスを出した。
慧は、ボールを受け取ると、ジャンプシュートをする。
でも、立川のマークが硬くて無理矢理打たされた形になり、決めることはできなかった。
リバウンドをしたのは野崎。
俺はすぐにディフェンスに切り替えようとダッシュした。が、すでに遅し。
野崎は市村へパス。市村はゴール下までドリブルで行って、レインアップと見せかけて、3ポイントラインにいる立川にパスをする。
立川は3ポイントシュートを放つ。
立川は小さくガッツポーズした。
とにかく速い。どうすればいいのか。
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