久しぶりのオフ2

 母さんがニュースと言って、急かしたから、リビングに慌てて行ってみると、テレビを見るなり目を見開いた。


村野拓海むらのたくみ、NBAでプレーすことになりました。所属チームはサッズです」


 村野拓海は、俺の兄ちゃんだ。


 テレビのニュースに、兄ちゃんが出ている。


 何が起こったのか。


 ニュースを見た瞬間に、やったーとガッツポーズをして拍手した。


 世間を騒がすほどのビッグニュース。


 ついに、兄ちゃんがNBA入りを果たした。


「すげー、本当にNBA選手になったのか」


 驚きと同時に、俺の中で疑問が生じた。


 こんな大事なことなのに、連絡がなかったな。


 また、兄ちゃんがNBAに入るということは、さらにプレッシャーがかかるということ。


 でも、負けない。俺は俺のプレーをすればいいだけだ。


 兄ちゃんの所属チームのサッズといったら、NBAでも強豪チームで、いつも優勝候補になるチームだ。


 あの名門チームに仲間入りなのか。やっぱり兄ちゃんは凄いな。


 日本人は、なかなかNBAに入るのは、なかなか難しい。NBAでプレーしている日本人は、まだ、わずかに3人。その中に兄ちゃんが含まれている。


 マジで凄すぎる。


 母さんと一緒になって喜びを爆発させた。


 母さんは喜んだ後、俺の肩を叩いた。


「拓海がNBAに行ったら、今までより、樹は比較されて、プレッシャーになると思う。でも、樹は樹。気にすることないからね」


「ん?」


 さすが、母さんだ。俺の性格をよく見抜いている。


 兄ちゃんはドラフトに参加していたこと、インターハイ出場をかけたの試合に集中していて、すっかり忘れていた。


 ドラフトで選ばれるとは、言葉を失う。それほどの快挙。


 兄ちゃんのニュースがひと段落した後、スマホがなった。


「兄ちゃん!? おめでとう!」


 俺は兄ちゃんだと思って、スマホを確認した。そして、真っ先に祝った。


「おぉ、サンキュー」


 兄ちゃんは、安心したような声だった。


 そりゃ、そうだ。ドラフトで呼ばれなかったらという不安があって、相当緊張したと思う。呼ばれたときはホッとしただろうな。


「兄ちゃん、本当に凄いな」


 兄ちゃんは、元気な声が電話越しに聞こえてくる。


「悪いな、本当は先に連絡すればよかったけれど、驚かせようと思ってさ」


「本当に驚いたよ」


 俺は兄ちゃんとNBAの話で盛り上がった。


 1時間以上して、ようやく電話を切った。


 俺もNBAでプレーしてみたいな。


 兄ちゃんがNBA入りしたことで、刺激になった。


 NBAはとても厳しい。でも、そんな厳しい状況の中でも、どこまで行けるのかチャレンジしてみたい。


 でも、その前にインターハイで、まずはアピールしないとな。


 NBAはそれからだ。

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