インターセプト

インターハイ予選決勝ー徳丸高校ー21

「すぐ戻れ！」

　俺はゴールを背にして横から放つ、シュート、フックシュートを決めた後、すぐにディフェンスに切り替えられるように叫ぶ。

　安見がゴール下で待っている。

　横野へのパスを出そうとした瞬間を、貴は見逃さなかった。

　ボールを奪いとり、ドリブルをしながら走る。自分でもいける。でも、貴の判断は。

　智樹にパス。智樹に3ポイントを打てと訴えている。

　その意図を理解し、俺は、智樹についている安見の動きを封じるため、壁を作った。これがスクリーン。スクリーンをかけ、智樹を完全にフリーにした。

　智樹は迷わず、3ポイントを放つ。

　シュッ

　ボールは綺麗な弧を描き、リングの中へ。

「スピードが増してる。前半は様子を見ていたのか」

　安見は呆然としながら、智樹や俺を見つめる。

　俺たちはすぐにディフェンスに切り替える。

　本山が仕掛けようとしている。

　俺は、本山に何もさせまいと、しっかりとついていく。

　今の状況では、パスもドリブルで切り込んでいくことも、なかなかできない状況に追い込んだ。

　ピーッ

　笛がなった。

　ショットクロックだ。24秒以内にシュートを打てなかった。

「ナイスディフェンス！」

　慧が手を叩いて、俺を褒めた。

「広がれ、広がれ」

　俺はドリブルしながら合図すると、人差し指を立てた。

「まだまだ、1本いこう」

　俺は様子を見ていると、俺についている本山を引きつけるために、慧がスクリーンをかけた。

「サンキュー、慧」

　ゴール下も空いてるし、3ポイントも打てる。だけど、俺の選択はこれしかない。

「貴、リバウンド！」

　3ポイントを放つ。

　そのボールは、スーッとリングを通り抜けた。

「よっしゃ！」

　俺はすぐにディフェンスに切り替える。

「早く早く！」

　本山はすぐに自分のポジションにつくように促す。

　本山は焦りからか、矢野にパスを出すが、雑になっていた。

　パスが通らず、ラインを割ってしまった。

　良い流れが続いている。このまま、続けば勝てる！　あっ、でも、勝てると意識しすぎると、油断してしまう。引き締めないと。

　俺は智樹にパスを通す。

　まだ、ディフェンスが追いついていない。智樹はフリーのまま。チャンスだ。

　智樹は、今度は3ポイントではなく、勢いによって、ゴール下までドリブルでいき、1、2、3のリズムで、ゴールにボールを置いてきた。

　智樹のレインアップシュート。これも決めた。

　4クォーターは、今、ここにいる城伯高校のメンバーもびっくりするくらい、シュートが入っていく。

　きっと、4クォーターのゲームが一番楽しい。

　10分間はあっという間に終了する。

　結果は108-90で、城伯高校の勝利。

　城伯高校のインターハイ出場が決定した。

「やったー」

　俺と慧はハグして喜びを分かち合った。

「急にシュートが入り出したな、凄いぜ」

　安藤は、俺と慧に笑顔を見せて褒め称えた。

「俺も楽しかったぜ」

　俺はニッと笑って、安藤と握手した。