インターハイ予選決勝ー徳丸高校ー15

 3クォーターの始まりは、ボールを相手から奪うスチールに成功し、一気にシュートまで持ち込む。城伯高校の得点から始まった。


 俺ら、城伯高校のディフェンス。


 問題はアーノルドのオフェンスリバウンド。背が高いため、シュートが外れても簡単にボールを取ってしまう。


 とりあえず、俺は安藤を徹底的にマークだ。


 安藤は、まずはドリブルをして、どういうプレーをするか、組み立てている。


 安藤はドリブルで、あちこち動き、俺を惑わそうとしていた。


 右にドリブル、左にドリブル、持ち手を変えるために、背中から持ち手を変えたりと動きが悟られないようにしている。


 少しずつ、安藤はゴールに近づいてきている。それでも、俺はしっかりついていき、壁を作る。


「しつこいな」


 安藤はドリブルを低く速くして、リズムを変え、ゴールまで切り込んでいく。


「ドライブ!」


 俺は絶対に逃すまいと、必死でついていった。


 その結果、安藤はシュートができず、瞬時に切り替えて、スリーポイントラインにいた吉田へとパス。


 そこには貴がついていて、スリーポイントをさせないように、絶妙な距離で防ぐ。


 吉田は仕方なく安見へとボールを渡した。


 安見にボールが渡ると、風斗が壁を作る。


 安見は右足を動かしながら、ボールを取られないように前後左右に動かす。


 安見は仲間の状態を見ながら、パスを狙っていたが、できそうにもない。


 そこで、ゴール下まで切り込んでいくことを判断した。ドライブだ。


 ただ、突っ込んだとき、風斗の体に当ててしまい、風斗が倒れる。


 ピピー


 笛の音。判定はオフェンスファウル。安見のファウル。


 風斗は両手をあげていて、手を出していなかったため、安見が突っ込んで風斗に当てに行ったとの判断で、安見がファウルとなった。


 城伯高校のボール。


 俺は素早くボールを運んでいき、風斗へとパスをする。


 風斗は迷わず、切り込んでゴール下までドリブルをする。


 安見が風斗を止めようと、壁になろうとするが、風斗は、ステップで安見を惑わした。


 安見は風斗に惑わされても、ついていく。


「甘い!」


 風斗は下がって、ゴールから遠のいた。そして、クルッと回転すると、再びゴール下へ切り込んだ。


 風斗はチャンスとばかりに、ボールをゴールに置いてくる。


 ところが、安見もしつこくディフェンスしてくる。シュートを塞ごうとしている。


「レインアップはダメか」

 

 風斗は空中で安見をかわして、右手から左手にボールを持ち替えてシュートする。


 そのシュートはダブルクラッチ。


 見事に決めて見せた。


「おぉー!」


 今日、1番の歓声が上がっている。


 空中でディフェンスをかわし、さらに持ち手を変えてシュートするので、ディフェンスよりも高く跳び、耐空時間が長くないとできないシュートだ。


 高度な技を風斗は軽くやってのけた。

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