再びインターハイ予選3

 いよいよ、俺たち、城伯高校の試合が始まる。


 インターハイ予選の相手は埼玉私立平塚高校さいたましりつひらつかこうこう


スタメンのオーダー


平塚高校


立川和樹たちかわかずき

3年 C 202㎝ 背番号4

キャプテン


安井保やすいたもつ

3年 PF 198㎝ 背番号5

副キャプテン


館野達人たてのたつひと館野達人(たてのたつひと)

3年 SF 195㎝ 背番号6


山木風太やまさきふうた

2年 SG 190㎝ 背番号7


川野俊平かわのしゅんぺい

2年 PG 185㎝ 背番号8


ヘッドコーチ

甲斐田光男かいだみつお


城伯高校


村野樹

3年 174㎝ PG 副キャプテン

背番号5


斉木慧

3年 180㎝ C キャプテン

背番号4


田畑貴

3年 178cm PF

背番号6


栗本達也

3年 175㎝ SG

背番号7


伊田灯

3年 176㎝ SF

背番号8


ヘッドコーチ

高宮義孝


 いよいよ、コート内に入った城伯高校と平塚高校。


 まずはシュート練習を中心に軽く準備をする。


 20分くらい練習してから、ベンチに集まり作戦会議を始める。


「さっきも言ったけど、コートを広く使えるようにしよう。そして、何でもいいから声を出そう」


 慧が声をかけて円陣を組む。


「城伯!1、2、3、ファイッ!!」


 喝を入れて試合に臨む。


 慧と立川がジャンプボールをする。


 審判がボールを上げて試合開始の合図。


 慧がボールを叩く。


 ボールを手にしたのは、達也だ。達也はドリブルをしながら、ポジションにつけと、指で合図する。


 ポジションをとって、落ち着いてきたところで、俺にボールを渡して、達也もポジションをとった。


 俺はボールを腰に抱えたまま、灯に指で合図した。


 俺の合図で、灯はチャンスを作るために、相手を見極めようとしている。


 ボールは何もしないで5秒持ったままだと、反則になってしまう。


 灯が動き出すまで、俺はドリブルをしながら待つ。


 灯についているのは、館野だ。


 館野のディフェンスを振り切りたいけれど、なかなか振り切れないようで、次なる合図を出す。


「灯!」


 俺は声をかけると、灯と慧に指で指示を出す。この指示を汲み取ってくれるだろうか。


 灯は頷くと、慧のディフェンスについている立川のほうへ向かっていく。


 立川は灯に止められ、一時的に慧のディフェンスをすることができなくなった。スクリーンをかけたともいう。


 立川が一時的に動けなくなったことを利用して、慧はゴールから離れ、スリーポイントラインのところまでやってきた。


 俺のすぐ隣に慧がいる。フリーの状態。


 俺は迷わず、慧にパスを出したい。ただ、慧はイップスのこともあり、足が震えている。


 慧を信じたい。慧ならできる。俺はそう思ってパスを出す。


「慧、スリーだ! 勝負!! ミスっても俺が必ずフォローする!」


 慧はチラッと俺を見て頷く。


 慧の足はガタガタだ。失敗したらどうしようという気持ちが勝っているんだ。それでも、俺は慧を信じる。


「大丈夫だ! 信じろ!!」


 慧は迷っているようにも見える。トラウマが蘇っているのかもしれない。体も震えてきている。


 慧はフーッと息を吐いて、落ち着かせようとしている。でも、恐怖が勝っていて、なかなかシュートまで持ち込めない。


 今がチャンス。慧、大丈夫だ。打て!


 俺は強く願った。


「慧! 大丈夫だ!! 信じろ!! 打てる!!」


 思わず叫んでしまった。慧の迷いを吹っ切れたらという思いだ。


「いっけー!!!!」


 俺は慧に願いを込めて、大きな声で言った。


「樹……」


 慧はゴールを見た。震える足を身体を糧にして、シュート態勢に入った。


「フォロー頼む!」


 慧は覚悟を決めて、膝を曲げてジャンプ。ジャンプが最高潮に達したとき、手首のスナップを利かせてボールを離す。


「フォローは任せろ!」


 俺は素早くゴール下に入り、リバウンドできるように整える。


 ボールは綺麗にリングに吸い込まれていった。


 シュッ


「よっし! ナイス、慧!」


 俺は慧と身体をぶつけ合って喜んだ。


「ありがとう、樹!」


 慧の目から涙が出ていた。まだ試合が始まったばかりなのに。


 それだけ、イップスが苦しめていた。だから、きちんと、スリーポイントが打てたこと、入ったことに、嬉しさで涙が溢れたのかもしれない。


「よし、ディフェンス行くぞ!」


 俺は手をパンパンと叩いて、ディフェンスに切り替える。


ポジション説明


C→センター 主にゴール下のシュート、リバウンドを行う。


SF→スモールフォワード 主にドライブ(ドリブルでゴール下まで走っていくこと)からのシュートを行う。


SG→シューティングガード 主に3ポイントシュートを行う。


PF→パワーフォワード 主にゴール下のシュートを行う。


PG→ポイントガード ゲームの司令塔。どんな展開にするか指示をする。自分でシュートに行くこともある。


主な役割とポジションはあるものの、最近、バスケは全員バスケが主になっていて、ポジション、シュートなどオールマイティーにできるほうが有利とされている。そのため、センターでも3ポイントに力を入れている。

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