インターハイ予選8

 第2クォーターが始まった。


 俺はボールを持って、指で合図する。


 まずは、達也を動かして、中へ切り込めという指示。


 達也は中へ切り込んでいき、パスをくれと訴えていた。


 達也が切り込んだことで、行きやすくなる。


 俺はドリブルして中へと入っていく。


 同時に達也は外に開き、慧がスリーポイントのラインへと移動する。


 俺はそのまま、ジャンプしたとき、動きを止めた。


 河田と越野がダブルチームでマークされる。


 まずい、身動きが取れなくなる。


 本来はシュートをしようとしていたけれど、すぐに切り替えた。


 貴へとパスをする。


 貴はボールを受け取ると、ゴールを見る。


 シュートが無理があるとみた貴は、越野の右側から、バウンドパスで灯へとパスを出す。


 灯はボールを持つとすぐに俺へとパスをする。


 俺はボールをキャッチする。


 ミスマッチ。


 河田とのズレが生じた。


 チャンスだ。


 俺はスリーポイントシュートを打つ。


「リバウンド頼む!」


 俺は叫びながら、シュートが入れと願う。


 ボールはリングに当たって跳ね返る。


 外した。


 すぐにリバウンドをしたのは慧だ。


 慧はリバウンドをして、そのまま着地せずにゴールに叩き込んだ。


 ダンクシュートでアリウープをして見せた。


 入れば、かっこいいプレイだったが、その前にブロックをしたのは、吉本だ。


 ボールはボードにすら当たることなく、飛んで行った。


 そのボールをキャッチしたのは、宮田だ。


 宮田はドリブルで一気に駆け抜け、自分でレインアップシュートを放つ。そのボールは、優しくゴールに入っていく。


「ナイシュー!」


 河田は宮田に声をかける。


 河田と宮田は体をぶつけ合って、喜びを爆発させた。


「1本取り返すぞ!」


 俺は仲間のモチベーションを下げないために鼓舞する。


「そうだ! まだだ! 終わったわけじゃない!」


 慧も仲間たちを鼓舞する。


 俺はドリブルをして周囲を見渡す。


 貴へとパスを出した。


 貴は俺からパスを受け取る。


 ドリブルをして、ゴール下へと走り出す。


 滝のわきを通って抜けていくと、ジャンプした。


 シュートに行くと思わせて、達也へとパスを出す。


 達也がボールを持つと、すぐにシュートモーションへと入る。


 でも、目の前に宮田がいる。


 シュートを諦めて、慧へとパスを出す。


 慧はしっかりとキャッチすると、ドリブルをして下がり、吉本から距離を置く。


 そして、再び、シュートへ行こうとゴール下まで走り出す。


 慧はシュートをせずに、灯へとパスをする。


 灯はゴール下でボールをもらう。


 でも、シュートができる状況ではない。


 灯は達也へとボールを渡す。


 このとき、クロックがあと3秒になっていた。


 これは、試合時間ではなく、24秒ルールだ。


 24秒以内にシュートをしなければならない。


 残り3秒。


 もう、シュートしかない。


 達也は、越野の強いディフェンスに阻まれ、シュートを打てる状況ではないけれど、もう、打つしかない。


 打たされる形になってしまった。


 バランスを崩したため、シュートを放つも倒れてしまう。


 そのボールは、高く上がっているけれど、入るかといわれると……


 スリーポイントエリアからのシュートなので、入れば3得点。


 シュパッ


 ブー


 ボールがゴールに入ると同時に24秒のブザーが鳴った。


 このゴールはカウントされる。


「入った!」


 貴が目を丸くして叫んだ。


 それもそのはず。


 スリーポイントシュートを放ち、それも、バランスが崩れていて、ボールが手から離れた瞬間、倒れた。


 そのシュートが入るなんて、誰もが思っていないことだ。


「おぉ、今のはやるなぁ」


 達也のマークについていた越野も驚愕して、思わず口に出した。


 試合時間、あと、10秒。


 俺は河田にしっかりついていき、抜かれないように足を動かしていく。


 毎日、フットワークを忘れずにやっているからか、かなり足が軽い。


 河田はシュートまで持っていきたいと、ドリブルでゴール下までいくが、シュートはできずに試合時間が終了する。


 これで、前半が終了し、10分のハーフタイムに入る。


 前半終了時、50-45


 城伯は5点ビハインド。

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