凄腕のコーチがやってきた2
俺は慧と一緒に体育館に向かう。
体育館来ると、既に何人かの先生たちが部員たちに話を聞いていた。
部員たちの話を聞いて、先生たちがバスケ部のコーチに確認している。
バスケ部のコーチは、中年のおっさん。多分、年齢は60代。担任はしていないけれど、確か国語を担当してたような。
そんなコーチの名は
主に3年に国語を教えているから、部活以外に関わってはいない。きっと、3年生は授業でもコーチと関わらないといけないから、部活でも一緒にはやりたくないんだろうな。
バスケ部に3年はいない。3年生もまた体罰を加えられていた。話によれば、できるまでやれと22時くらいまで残されて練習していたとか。できなければ、バスケットボールを何度も投げつけられ、殴られて骨折させられたこともあるとか。
教育員会から通告されても学校側が認めないらしい。これは校長が悪いな。うまく誤魔化して体罰がないように指導すると言っているみたいだ。
それでも、俺を含む2年と1年がバスケを辞めないのは、慧のおかげだ。
慧はミニバス、小学生になる前からバスケをやっていて、中学の時はU14の日本代表候補にも選ばれたとか。
だからなのか、いろいろと俺たちに教えてくれてバスケを楽しいと思わせてくれるんだ。勝ち負けだけじゃない大切なものを教えてくれる。
これが俺たちが辞めないでいられる理由だ。本当にありがたい。
慧が来てくれてよかった。慧は中学までは中学のバスケ部には入っておらず、地域のクラブに所属していて、そこのコーチが凄腕だという話を聞いたことがある。
えっ? 俺? 俺は某バスケ漫画を見て影響を受けて、中学からバスケを始めたから、バスケに関しては、まだまだ素人といってもいいかも。
あれ? 話が逸れていないか?
「あまり厳しくしないでくださいね。また、教育員会から通告が来ますよ」
ひとりの先生がコーチに注意している。この先生も3年生を担当してたはず。名前は知らない。完全に関わったことがない先生だし。
「いや、そういう話じゃないでしょ。かなりの無茶振りだよ。昨日の練習ができていないからって、15時には練習しろってさ」
「いやいや、なんで練習開始が15時なの? ホームルームの時間だよ。まだ」
「昨日の練習の何が悪かったのかちゃんと説明したの?」
「できないから罰として腕立て伏せ? 指示に従って、ちゃんとやろうとしている部員にボールを投げつけるって、それはもう暴力だよ」
先生たちが口々に言っている。
「とりあえず、今日のバスケ部の活動は中止。二度とないようにするから、また、明日から練習して」
と、女性の先生。この先生は荒木先生。優しい先生で俺と慧の担任。人気のある先生だ。
「はーい」
慧は素直に従い、俺の腕を引っ張って体育館から出ていく。
「慧?」
慧には何考えがあるようだった。
「あの先生たちじゃ頼りないし、何も変わらない。だから、今度、動画を証拠としてとってみようと思う」
「えっ?」
俺は目を丸くした。慧は一体何を考えているのだろう。確かに今のままでは何も変わらないし、また、注意で終わって、あのコーチは体罰を繰り返すだろう。
「でさ、動画をとって相談しに行こうと思う」
「誰に?」
慧に言われて、俺はまだ整理できていない頭で聞き返す。
「前に話したよな? 俺は中学まで地域のバスケクラブにいたって。そのコーチに相談してみる」
「あぁ、凄腕のコーチだったとか言ってたよな」
「そう、あのコーチ、本当は日本代表のコーチ兼俺たちのクラブのコーチもしてくれていたんだ。そのコーチに相談してみようかと」
確かに中学までバスケを教えてくれたコーチなら、何とかしてくれるかもしれない。でも、なんで?
「高宮コーチっていうんだけど、今はコーチを辞めて指導者を指導したいって言ってたけど、多分、相談に乗ってくれると思うよ」
慧はその高宮コーチを心から尊敬しているんだな。俺には日本代表のコーチに教えてもらっていた慧を想像できないけどな。
高宮コーチ、なんで、指導者を指導したいって思ったのかな? この高宮っていうコーチに興味がわいてきた。
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