第11話 海神(ラタペイロス)の地下神殿
ここから地下神殿に行けます。しかし、地下道にはラタペイロス神の
「分かりました」
「壁に灯る明かりが神殿への
「見失ったら?」
「ラタペイロス神の怒りを買います」
ビアトロの質問に対し、言葉を荒げる事なく答える神官に彼は、
「分かりました」
小さくうなずくと神官もうなずき返す。と、そこで神官はやおらひざまずき、懐から鍵を取り出して解錠するとビアトロ達は扉を開け縄梯子を使い地下に降りていく。
そのさまを見送った神官はおもむろに壁に手を付き、
「海神よ、神殿への道をこの者らに示し給え」
とつぶやく。
ビアトロ達が縦穴の階段を下りた先に広がっていたのは、壁面には明らかに蝋燭とは違う明かりが灯されている地下通路だった。
床も天井も煉瓦が敷き詰められ、その天井も大人がかろうじて立って歩けるほどの高さくらいしかない。
下を見れば人が二人ほど並んで歩けるほどの通路のすぐ下には轟々と音を立てて大量の水が流れている。
「この町の地下にこんなものが」
壁に灯された明かりは奥に向かって点々と灯されている。がそれだけでは心もとない。
ぼうぜんとつぶやきながらビアトロは持っていた松明に火打ち石で火をつけ、あたりを照らす。
「古代王国時代に作られた地下道だそうだ。スカータ・オシュが氾濫したとき、ここに川の水を流して被害を食い止めるのだという」
「なるほど」
「ラタペイロスの地下神殿も、その加護を得るために作られたのだろうな」
リオグルの言葉にビアトロはうなずき、
「では行きましょう」
そう言って踏み出した次の瞬間、彼は何かを察知し、とっさに前に飛ぶ。
ビアトロは前転して床に転がるが、その勢いで身を起こし、松明を掲げる。
その先には目の前には短剣を抜き放ったリオグルがいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます