参 『玄武』
「
やや
『——なぁに、
——空気が揺らいで空間が歪み、ぬっと人が顔を出した。
霰琳と同様の
「あ、嗚呼、良かった……。北亀が中々わたくしの前に現れないのだから、
言の葉に詰まり
『……全く、小霰は可愛いなぁ。ほらほら機嫌を直して。僕は君を独りになんてしないのにね? 〝玄武〟の
玄武。北を司りし冬の神だ。其の神獣姿は、大蛇が取り巻く大亀である。
「分かったわ……わたくしの方こそ、
『大丈夫だよぉ、どんな小霰も可愛いから』
惜しまず
五神獣らは基本、獣の姿を取る事が多い。白虎は気が向けば人型になるが、青龍や鳳凰は獣型を
神は
だというのに、玄武こと北亀は常に人型を取っている。
『小霰、如何して頭から血が出てるの?』
「
髪を掴まれた時の怪我で、髪は抜け頭皮からの血が乾いて変色している。
『……ふーん、そっかぁ』
眼の笑みを消去って、北亀は
埃が舞い、ぼふんと寝台用の敷布団が霰琳を受け止めた。
『今日はもう寝よっかぁ、小霰、疲れた顔してるから』
北亀は後ろから霰琳を
——霰琳が眠りに
『さぁて、賢妃は
ふらりと寝殿を
『標的は琉 菫花。ほぅら、行っておいで?』
人の子の姿を
『んぁー、
分神体に指示を出した直後に菫花妃の絶叫が、
次いで後宮内は一気に騒がしくなり、
『
目的を果たし機嫌の良い北亀は、
『あれぇ? こんな
月明かりに照らされ北亀が拾った物は、土に汚れた一枚の招待状だった。
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