第5話
一方その頃、冬風夜斗は
「きたか、霊斗」
待ち合わせ場所は地元の駅前にある喫煙所だ
一時期排他的に扱われた喫煙者だったが、税収の問題からかなり歓迎されている
それもあって喫煙者が増え、税率が下がるというおまけ付き
「急に呼び出すなよ…」
「悪かったな。零奈が静岡にきたと連絡を受けたぞ」
「え…?」
「どうやら空間制御を実行したら思ったより遠くに跳んだらしくてな」
「まじかよ…。あの歳で空間制御を使いこなしてるのか…?」
「使いこなしてはいないだろどう見ても。距離が出てるということは魔力量だけならお前より上だ」
霊斗の強みは魔力量ではなく制御力の高さだ
つまり、単純には比較できないものの、親たる霊斗のポテンシャルを上回っているのは間違いない
「そうかもな…。って今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ」
「それもそうか。なら、久しぶりに」
「そうだな」
眼の前にゾロゾロと現れたのは、緋月一族を嫌悪する過激派と呼ばれる者たち…の残党
ここ数年姿を隠していたため、霊斗も夜斗も殲滅しきれていなかった
人間と魔族が手を取り合うのがこんなにも遅れたのは彼らのせいと言っても過言ではない
「「死にたいやつからかかってこい!」」
夜斗の手に握られた剣が銃へと姿を変える
双発装填の中折れ式散弾銃。つまりは狩猟用に使われる銃と同じものだ
霊斗の右手には機械でできた爪のようなものが見える
「貴様らのせいで…我々魔族の権威は地に落ちたのだ、その罪を償うがいい!」
代表と思われる男が言い終わるのとほぼ同時に夜斗が引き金を引いた
男にはその軌道が見えていた。獣人は総じて五感が優れており、これを回避するのは容易なはずだ
そう、容易なはずなのだ
「バカ、な…」
男は見えている弾丸をそのまま額で受け止め、うめき声をあげながら地に伏した
それを見て他の獣人や吸血鬼、さらにはサキュバスといった数多の過激派魔族が後退りする
「理不尽とは、理にかなわないことを指す。これがまさに理不尽の象徴…『
見えていても回避できない。避けても当たる
そういう運命をこじつけていく
これだけで魔族の半数が倒れていった
「霊斗」
「おう」
静かに呼応した霊斗が手を魔族たちに向けた
すると霊斗の背後に無数の銃が現れ、それぞれが狙いを定める
「
魔術と魔法のあわせ技により、召喚した銃器を全て並列で操作する
狙いを定めるのも、空中に固定するのも霊斗の脳が処理している
これが恐れられた緋月霊斗の魔力制御能力だ
「終わったか」
「ああ。…ってなんか子ども紛れ込んでるな」
「…このガキは…」
夜斗と霊斗に怯える子どもが、血の海で膝をついていた
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