第4話
浴槽に浸かりながら思考を回す彩斗
(…向こうに利がないとは思えない。普通の女の子は嫌がるはず)
吸血姫と呼ばれる彼女だが、思考回路がぶっ飛んでいるだとか、1000年を生きた旧世代というわけでもない
なんなら生まれたのは彩斗より後だ
(僕がもつ権威は全て自分に備わっているはず。まさか、ただ惚れただけではないだろう)
ただ惚れただけだとすれば関わりがなさすぎることを理由に引き離せる
が、その言葉一言で動くとは到底思えなかった
(真意を調べる必要があるかな。と僕は思っているよ)
心の呟きに意見を述べるものは、いない
零奈は、部屋の中を漁る…ことはせず、部屋の中心で体育座りをしていた
(振動系統狭域探査魔法・
発動したのは魔術とは異なり、論理記述を必要としない魔法というもの
魔法の良いところは自分以外が発動を認識できないというところにあり、悪いところは単純なことしかできないということ
今使ったのも、音を発生させて反響した音を聞くことで物体の形状を認識するという、いわゆるソナーのようなものだ
(…成人向け雑誌はないかぁ…。未だにお父さんの部屋にはあるのになぁ)
母に言われた訓練方法がこれだ
部屋の真ん中に座り、魔法を使って本を探す
見つかれば父の夕飯がナシになるのだが15歳頃からは気にするのをやめた
(…今、彩斗君お風呂だよね)
何かを考えてふふっと笑う
(指向性振動系統狭域探査魔法・
風呂場へ向けて同じ魔法を放つ
これは方向を指定することで形状の把握を詳細に行うことができるものだ
つまり、あらゆる物体の形や大きさを細かく知ることができる…はずなのだが
(ぶ、ブロックされてる…!?魔法でも魔術でもない…なにこれ…!?)
風呂場自体に謎の結界が張られており全く音が中へと入らない
中の音は聞こえてくるというのに
(こ、こうなったら…
自棄になった零奈がまた魔法を使う
今度は内側から放たれた音を聞き取り解析する魔法だ。しかし
(無効化魔法!?私の魔法を…そんなことできるの…?汎用無効化魔法は、まだ実用レベルじゃないのに…)
無効化魔法というものは、あらゆる魔法を無力化することができる
が、1つの魔法に対して1つ無効化魔法があり、汎用…つまりはあらゆる魔法を無力化することができる魔法は存在しない
簡単に言えば、相手が使う魔法を予測して無効化魔法を組むしかないはずなのだ
(魔法構築速度は基本的にみんな同じだから、仮に相手が使う魔法がわかっても構築が間に合わないはずなのに…)
という状況を見て笑うナニカが彼女を覗き込んでいた
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