1章 悲劇の始まり

 五十嵐先生にあって、いろんなことがあったが、私は名古屋城をしっかり見学することができ、もちろんひつまぶしも美味しく頂いた。金のシャチホコが改修工事に入っていて、見れなかったのが残念だったが、それでも楽しむことができた。いつの間にか3時を過ぎていた。ボーッと付近を観光していると、「久しぶりだね、源」という声が聞こえた、今回は流石に声だけではビビらなかったが、人を見てビビってしまった。逆井だったのだ。

 

逆井 昇(さかさい.のぼる)幼 小 中 高 大と学校はすべて一緒大学の学科が異なり就職した会社も異なっていたので、会うことが少なくなっていた。仙田さんのことを知っている。


逆井にあって、結婚式に行くのかと聞かれるのかと思ったが、意外にもそうではなかった。聞くところによると、五十嵐先生が私と会ったことを逆井に伝えたらしい。そして、驚かせるためにこの春に名古屋に引っ越していたことを言ってないことを確認して、ソーシャルアプリ[INE]を使わなかったことなどを聞いた。

 そして、逆井は続けた、「俺は、五十嵐先生から伝言をするように言われているんだ。黒敷の結婚式は明日の9時からです。その時、深井と一緒に結婚式に来てください。すでに、黒敷と榊原とは話をつけてありますから。だってさ。」冗談だろ!!俺はそう思った。

 でも、逆井の顔を見る限り、それは冗談のようには思えなかった。まるで、何か恐ろしい物を見るような目だった。

 そして、逆井と会うのはこれが最後となった。 逆井と会って、しばらくすると、深井から電話があった。  

  「久しぶりだね。もちろん、雑談をするつもりもない。君と結婚式に行くように、彼に言われているのでね。明日の8時に名古屋駅に集合だ。服は仙田さんに指定されているような服で良いよ。君と対面できるのを楽しみにしているよ。」

 「こちらこそ。急な予定になったけど、五十嵐先生に言われたんならしょうがないかな、と思い始めてきたよ。よろしく。ただ1つ気になるのが、彼にと言ったよね。五十嵐先生から直接聞いたわけではないのかい?」

 「僕は逆井くんから聞いているよ。五十嵐先生からの頼みだとは言われなかったけど...。」

 「なるほど。わかった、ありがとう。また明日。」そう言って僕は電話を切った。何か、面倒くさいことに巻き込まれるような気がした。なぜ、五十嵐先生から直接話を聞いたわけではなくて、逆井を通したのだろうか? ホテルに着いてゆっくりと休んでいると、ホテルの扉をノックする人が現れた。誰かと思ったが、見ると、それは大門寺だった。

 大門寺に訪ねてきた理由を聞くと、

 「だって、俺。逆井から頼まれたんだよ。源に結婚式の招待状を改めて渡すように。実際、君は招待状を今は持ってないだろ。」

 「いや、招待状は申し訳ないが、何故か持っている、かばんの中に入れられているのにさっき気づいたんだ。」そう言うと、大門寺の顔が歪んだ。

 予定外のことが今起きたらしい。おそらく、大門寺の招待状にはGPSがつけられているのだろう。ホテルに来る間も、大門寺が僕をつけてきていた。何かしらの理由で、昔の級友が僕のいる場所をいつも把握しておきたいらしい。

 理由はわからないが、少し裏切られたような気分がした。大門寺とは親友までとはいかないものの、心の通った友達であったのに、、、。でも、大門寺は続けた。

 「いや、その招待状は無効なんだ。使えなくなったらしい、俺らも2枚招待状が送られてきたんだ。」なるほど。まだ、この招待状をどうにかして、僕に持たせたいらしい。僕はわざと相手の作戦にのり、

 「そうなんだ!!わざわざありがとー。」そう言った。その時の、大門寺のホッとした顔を俺は決して忘れない。大門寺が俺のホテルの玄関を出ると。俺は眠ることにした。なんだか、明日が長い日になるように思えたからだ。

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