Last Fantasy

@teiou2

序章

 東京からのぞみに乗り、1時間40分経過した頃、僕は名古屋駅についていた。もちろん、今更駅弁を食べればよかったなどという後悔とともに名古屋駅で降りたわけではない。ただ、駅弁を買っても良かったよな、という後悔に陥ってしまっただけだ。 

 僕はそのまま名古屋城に向かうために、東山線にのり、その後栄駅で、名城線に乗り換えた。この旅の目的はあくまで、幼い頃に仲の良かった、まあ言ったら彼女とでも周りからは言われていたかもしれない間柄の仙田さんに会いに行くためで名古屋観光が目的ではない。まあ、時間があって暇なので、せっかくだったら行こうと思っただけだ。ほんとうだぞ!! そうこう、いろいろ考えているうちにいつの間にか名古屋城駅についていた。

 名古屋城駅を降り、名古屋城に向かって歩いているとき、目の前に黒マスクのサングラス姿の男が通り過ぎた。特徴的だったのが、身長が2m近くあったことだろう。     

 また、女性物のバッグを持っていたので多少の違和感もあった。しかし、過ぎた人のことを考える意味もなく、考えることをやめて歩くことに集中するようにした。よく見てみると、タバコのゴミが至るところに落ちていることに気づいた。

 その時に、何人かの人が固まって路上喫煙をしているのを見た。3人は未成年とも思える年齢的あとの人たちは皆30代を超えているようにも思えた。このような人たちが、これほどのタバコのゴミを捨てているのだと思うと、少し残念な気がした。そのまま少しの時間、ぼーっと歩いていると名古屋城に着いた。見たところなにかイベントをしているようだった。立ち止まってみていると、後ろから声をかけられた。驚きのあまり少し「うわっ」という声が出てしまったが、周りの人はイベントに夢中のようだ。

 「久しぶりだねー!!源くん」

 そこにいたのは、高校の頃の担任である、松下先生であった。

 まさか、こんなところで会うとはというところだが。新卒だったので年はあまり変わらない人だということしか覚えてないが、容姿は世間でいうところのかなりの美人であることを友達から教えてもらった。それは、アレから6年たった今でも多分変わっていないようだった。アレのことについて思い出してしまい少し気分が悪くなったが、五十嵐先生と話すこともないので、返す言葉に戸惑っていると、

 「これから、黒敷くんと榊原さんの結婚式に行くんだけど、あなたも?」

 その言葉を聞いて少しゾクッとした。この予定と結婚式が被ったので、結婚式の方を断らせて頂いていたのだ。そのため、日程だけ見て行くのをやめたが、まさか名古屋だったとは。何たる偶然。五十嵐先生への言い訳が見つからなくなってしまい私はしぶしぶ声を出した。

 「残念ですが、私にはその招待状が届いていません。多分榊原さんの元彼だからだと思います。榊原さんもきっと気まずいのでしょう。」

 元彼というのはホントで、招待状が届いていないというのは嘘だ。そして、その後も先生と少し談笑をしたが先生は招待状が届いていないというのが本当で、元彼というのが嘘だと思っているらしい。笑止! 五十嵐先生は気まずそうな雰囲気を醸し出し、俺も気まずくなり、会話がある程度の時間止まり、解散しそうな空気が出ていた時だった。

 なんと、砧川が現れたのだ。彼は黒メガネの黒マスク、黒ジャージで現れたのだが、髪型と身長、彼が常に身に着けていた帽子もつけていたので、すぐにわかった。はっきり言って、衝撃でしかなかった。隣のクラスの生徒だったのだが、陰キャだった私にもその噂は伝わってくるほど、圧倒的学級崩壊の当事者。彼の手によって、先生が3人死んだと噂されるほどであった。私も、何度か廊下で見たが、取り巻きが10人くらいいたように思う。まあ、そんなこんなで私は相手のことを知っていたが、勿論、相手が私のことを知っているはずもない。そんなこともあり、別に”私は”話しかけられなかった。でも、五十嵐先生は違った。砧川は五十嵐先生に対して、「よっ!早かったなぁー」そういったのだ。一瞬気のせいだと思った。まさか、待ち合わせを砧川としているなんて!! 五十嵐先生に対して、かなりの不信感を抱きながら、砧川と五十嵐先生が話している間に去った。五十嵐先生が私のことを止めているような声が聞こえたが、もちろん無視をした。今思うとこの決断は間違っていたのだと思う。そして、この後起こった出来事を私は未だに鮮明に覚えている。

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