第14話 乱戦、そして

手にしている得物の長さのぶん、ルアンナのほうが半歩早い。


彼女は手にした槍の穂先に意識を集中し、教わったとおり、踏み込みに合わせて体重を乗せた槍を悪戯子鬼ケルツの鎧と鎧の合間めがけて突き出す。


槍から手に伝わる手応え。


叫び声を上げる悪戯子鬼ケルツ


しかし、ルアンナはその様と手応えに惚けることなく、身を引いて一息で槍を引き抜くと間髪をいれずに眼前にいる別のケルツめがけて再度踏み込み、槍を突き立てる。


槍を突き立てられた悪戯子鬼ケルツは手にしていた棍棒を取り落とすと、両手をだらけて立ったままうなだれる。


ルアンナが再度槍を引き抜くと支えを失ったケルツはよろめき倒れ込むと黒い霧になって消えていく。


一方、アクレイは盾を構え、剣で悪戯子鬼ケルツを斬りつける。


それに対し相手は棍棒で受け止める。


打ち合うこと数度、アクレイは相手の棍棒を盾で受け止めると、がら空きになった脇腹めがけて横薙ぎに剣を振るう!


革鎧を容易く切り裂き、悪戯子鬼ケルツの脇腹に深々と食い込むアクレイの剣。


表情を歪め、棍棒を取り落としてよろめく隙だらけの相手めがけてアクレイは容赦なく剣を振り上げ、そして振り下ろす!


剣は悪戯子鬼ケルツが身にまとった鎧ごと、左肩から胴、そして右の脇腹に到達する裂傷を刻む。


その裂傷跡から黒い霧を吹き上げながら悶える悪戯子鬼ケルツ。それをとっさに盾をかざしてアクレイは防ぐ。


「やったじゃない」


「でもまだいる」


「わかってる!」


そんな短いやり取りをしながら二人は背中合わせになって、取り囲もうとする悪戯子鬼ケルツたちに向き直る。


ケルツ達は数には勝るがルアンナが持つ槍の長さとアクレイが持つ盾に阻まれ、攻めあぐねる。


対する二人は背中を取られないようにしながら一体、また一体と悪戯子鬼ケルツを仕留めていく。


やがて……


「はあ…はあ…」


二人は荒く息をつきながら、あたりを見渡す。

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