第41話 武器よ、さらば
◇
振り上げた拳のおとしどころは何処やら?
理由はともあれ、クールなヒナコをここまで熱くさせた奴らは、未だその手に持つ武器を離そうとしないまま、話そうという素振りすら見せないのであれば、俺も武器を手に取るよ。
利き手でホルスターからマカロフ PMを抜き、空いた左手でスライドを引いて薬室に装填、スライドの後端を叩いてからセーフティを解除する動作に一秒もいらない。
未だ振り上げた拳の落としどころを見失い、困っている奴らに銃口を向ければ、戦意を喪失したのか、続々と矛を納めてくれるだけのアシストにはなったかな?
それでも矛を納めることに対して迷っているのか、あるいは躊躇しているのか、お困りのようならわかりやすい言葉で伝えてやろう。
「おい、まだやる気か? 今度はリスポーンさせねぇけどいいのか?……戦争やるんだったらいつでも相手するぞ? エステライヒの元魔王、トラチヨ・カスガの首をお求めならばね?……もっとも、お前ら以外にもたくさんの人が死んでもよければ歓迎してやるよ?」
言葉にしてようやく伝わり、理解したことでハローワーク(ギルド)内の武装解除はおおむね完了。
ヒナコはステゴロであったもののBC兵器並みの口の悪さ、気の強さで相手に武器を持たせてしまった以上、引けなくなったのも事実であろう。
丸腰相手に武器を手にしてしまった奴らの矛を収めるには、冷静になったところで武器を手にした第三者の登場によって、場を収める以外の方法は難しいからね?
それでも武器を収めることに躊躇している奴が、ちらほら居る訳でね……俺は武器を手にした相手に対して、銃口を向けたまま下げずにもう一言添えないといけないらしい。
「おい、武器をしまえよ?……聞こえてねぇのか?」
しかし、得られた回答はなしのつぶてであり、パーティーメンバーと思われる数人に説得されているにも関わらず、頑なに曲げようとしないところは、状況によっては美徳かもしれないが……現状では、戦争をお望みという意味合いに捉えてもいいんだよな?
戦争っていうのはな、武器を持っている者同士で戦うとは限らない、まったく関係ない奴が戦火に巻き込まれて、理不尽にも死んでいくんだよ……。
「いいか? 俺が3つ、数えるまでに武器をしまえ……3……2……1……」
しかし、彼は最後まで武器をしまう素振りすら見せず、説得を試みた仲間の努力も実らず、0をコールする代わりに俺は引き金を引いた。
『BANBANBANG!!……』
もちろん説得に応じず、武器とさらばしなかった彼の仲間に向かってね?───。
◇
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