第30話 朝チュン
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ダンジョンの中に出現した、カップルホテルにて朝チュンなのか、自然の光が少ない地下となれば殊更に時間の概念からかけはなれてしまうもので、雀のいないここではあり得ない話。
不思議なことにダンジョンというものは、地上世界の時間の流れとは違い、例えどんなに長く潜ろうが、即降りしようが、クリア、あるいはリスポーン関係なく、地上に戻れば一定の時間しか経過していない。
もっとも、ハローワーク(ギルド)等で正規の手続きをした場合に限るが、そうかればお互いに時間を気にせず、求め合うことでメンタル面のケアになるならば、悪い話ではない。
未だ最愛の人との再会を果たせず、寂しい思いをするナギ姐のことだけに、放ってはおけないものの、ウィラになんて言い訳をするか、ナギ姐と揃って頭を抱えることにはなりそうだが……その時はそうだね、雁首揃えてウィラの説教を聞き流そうか。
「……カスガ、すまない、またあたしの我が儘に付き合わせちまった」
くるくると回る円形のベッドの上で二人、生まれたままの姿で互いに身体を寄せ合い、抱き締められて前が見えないまま……ああ、規格外なチョモランマ二つのおかげか、呼吸が苦しくなってくる頃合いにタップすれば解放され、妖艶な美女のご尊顔を拝めば微笑み、目線を合わせれば溶けるように顔が綻んでいけばゆっくりを距離を縮めた果て、唇と唇が重なりを描けば時間の国の迷子というわけだ。
長く甘く、激しい口付けを求め合えば、またしても二人して時間を忘れていった。
互いに満足するまで果てれば、ようやく冷静になってきたのか、あの三人についてはどうしようかと言う話題へと移行した。
「とりあえず女子会プランを楽しんでくれていることだろうし、今後あの子たちがどうするか、考える猶予は与えられたんじゃないか?……カスガとしてはどうなんだ?」
正直なところ、前衛には使えないし、後方支援ばかりで自ら戦闘員として戦う機会がなく、特に近接戦闘や直接攻撃系となれば、ランク相応とは程遠い。
ならば、もうライフル持たせて訓練させた方が、遥かにマシだ……エステライヒ軍正式採用のライフル、もちろん最新型を渡すわけにはいかないので、型落ちの方を提供するのであれば問題ないだろう。
その事を伝えればナギ姐も概ね納得し、一番手っ取り早い強化方法は、やはり武装の近代化と言う訳だ。
さて、ぼちぼちシャワーを浴びてから軽くご飯を食べて、チェックアウトの前に三人を呼ぶのを忘れず、その後は最下層へと降りる前に、もう一度訓練と行こうか───。
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