第11話 ダークフェアリーとティターン
◇
先の大戦を懐かしむ懐古厨の俺は、平和になったのことで創立者の時代が終わり、勇退と言う名の解雇通告により引退し、元魔王のニートになった訳だ。
このままではただの暇なおっさん(前世での享年35歳、こっちで15年以上で合算したら50年前後)、不老という種族特有のチート的なものを得ていても、同じく不老のウィラとイチャイチャする爛れた日々を、不労のまま送り続けるのもどうかと思ったのだ。
そんな訳でハローワーク(ギルド)に登録して、なんとかチュートリアルダンジョンを攻略したことで、Eランク冒険者になったことでニートから自立!
Eランクで食っていけるほど甘い世界でもないから、実質ウィラのヒモだ。
とりあえずハローワーク(ギルド)には、ダークフェアリーの戦力評価がおかしい点について、抗議をしに行こうといったところだが……どうもハローワーク(ギルド)の様子がおかしく、人だかりが出来て騒がしい。
いったいどうしたのだろうか?
俺は野次馬たちを押し退け、ウィラは飛行しながら文字通り飛び越え、ハローワーク(ギルド)の入り口前に立つ、我がエステライヒ軍の制服を纏った屈強なティターン族(巨人族)が、俺とウィラを見るなり見事な敬礼をした。
もちろんこちらも敬礼を返し、彼に何があったのかを訪ねた。
「魔王様、ウィラ様、お久し振りでございます」
「おう、ハローワークでなにがあった?」
「ハローワーク?……ああ、ギルドのことですね。なにがあったもなにも、魔王様、あなたがダークフェアリーたちを焚き付けたのではないですか?」
「ああ、ハローワーク(ギルド)の戦力評価がおかしいと思ってね、ちょうど抗議の一つでもしようと思っていたんだ」
「……でしょうね、魔王様のテレパシーで沸き立ったダークフェアリーたちが、あっという間にギルドを制圧しましたよ。もちろんSランクの冒険者ですら、手も足も出なかったみたいですね。あ、どちらも死傷者はありません」
ほうほう、流石俺の教え子たちだ。
わざわざ俺が出向くまでもなかったね?
「なるほどな、流石のダークフェアリーたちだ」
「ええ、魔王様の前世でいう、一寸法師ですからね。私でも手を焼きますし、味方でよかったものです」
「違いない……ところでティターン君、君は何故、ここで見張り番をしているんだい?」
「トラチヨ、あんたアホちゃうか?」
「ウィラ様、魔王様のジョークですから、笑って許してあげましょうよ? 見ての通り、私は中に入れませんのでね?」
「「「HAHAHA!」」」
「せやな、トラチヨのそういうとこ、かわええから許せてしまうんや……せやけどな、浮気だけはそうもいかんで?」
「魔王様、またですか?」
またとはなんだ、またとは!?……否定は出来ないというか、未だに知れ渡っているのがツラいね。
とりあえずこの一件でダークフェアリーの戦力評価、見方も変わったことだし、今回はやんわりと抗議するぐらいでいいだろう。
もっとも、ウィラに対して抗議をしようものならどうなるか? HAHAHA!───。
◇
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