【第二章】元魔王、ニートから自立(ヒモ)

第9話 脱ニートの元魔王と女神






  チュートリアルダンジョンを攻略した俺は、超ご機嫌だ!


 愛するウィラに褒められたらそりゃあ最高だろ?


 このまま天に昇る勢いで、『ジーザスのクソッタレ!』と念じれば、お馴染みの雲の上に浮かぶ空中庭園が、そして女神としての職務を全うするアメリカ人の小娘とご対面。


 前世と変わらず北欧系の金髪碧眼で、うっすらとそばかすの浮かんだサザン・ベルは、俺を見るなり笑顔でベレッタ M9を向けてくるものだから、こちらもマカロフ PMを抜けば対等だね? HAHAHA!


「キャプテン、お久しぶりね? 今忙しいからあとにしてもらえるかしら?」


「ようジェニファー、女神として板に付いてきたな? ところでその転生者、希望の職種はなんだ?」


 ジェニファー=ズザンネ・サマーフィールド、彼女とも前世からの付き合いであり、最終階級は伍長であり、戦死後、3等軍曹へと昇進した。


 そのときの俺は、大尉へと昇進したばかりでアメリカ海兵隊のオブザーバーとして参加し、その時に出会ったことをきっかけに……画面の向こうのあなたにはわかるよな?


 ああ、一緒にいるうちに国と階級、そして年齢の垣根を超えて仲良くなり、とても深い関係になったのは……前世と今も変わらない。


 天界こと、ユニオン・ザ・スカイもクーデター後に色々とあって、清廉潔白、処女信仰である必要も無くなったので、彼女は女神へと復職したのだ。


 そんな彼女は、ある意味で前世の夢を叶えている訳で、聖職者のように迷える子羊を導いている訳なのだが、平和になった今では、転生者の扱いに困っているご様子だ。


「チートハーレムものの勇者になりたいそうよ?」


「今はニートの元魔王ならここにいるけど、勇者を希望ね……殺るか? おい転生者、お前、人を撃ったこと、あるか?」


「キャプテン、ちょうどいいわ。私、お昼ご飯まだだから、お相手をよろしくね」


 おう、これだからアメリカ人って奴はさ、やりたくない仕事をしないから最高だね?


 日本人はそもそも働きすぎなんだから、これぐらいがちょうどいいのさ?


 そんな元日本人であろう転生者に対し、いくつかの質問を繰り返しても話が成立しないものだから、とりあえず召喚魔法でISUZU の大型トラック(ギガ)、三菱ふそうの大型トラック(スーパーグレート)を用意し、好きな方を選んでもらった上で、もう一度転生したいのか、それともどうしたいのか銃を突き付けながら問いかけてみたのだ。


 結果、それまで話の通じなかった転生者は、チートはいらないと言ってくれた。


 今度はそうだね、スピルバーグ映画と言えば『DUEL(邦題:激突)』のトラックに似たものを召喚しよう。


 これならいつまでも追いかけ回されるからね、ハーレム勇者と言う戯言を諦めてくれることであろう。


 とりあえず一丁終わり、久々にジェニファーとランチデートでもするか───。







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