【第二章】元魔王、ニートから自立(ヒモ)
第9話 脱ニートの元魔王と女神
◇
チュートリアルダンジョンを攻略した俺は、超ご機嫌だ!
愛するウィラに褒められたらそりゃあ最高だろ?
このまま天に昇る勢いで、『ジーザスのクソッタレ!』と念じれば、お馴染みの雲の上に浮かぶ空中庭園が、そして女神としての職務を全うするアメリカ人の小娘とご対面。
前世と変わらず北欧系の金髪碧眼で、うっすらとそばかすの浮かんだサザン・ベルは、俺を見るなり笑顔でベレッタ M9を向けてくるものだから、こちらもマカロフ PMを抜けば対等だね? HAHAHA!
「キャプテン、お久しぶりね? 今忙しいからあとにしてもらえるかしら?」
「ようジェニファー、女神として板に付いてきたな? ところでその転生者、希望の職種はなんだ?」
ジェニファー=ズザンネ・サマーフィールド、彼女とも前世からの付き合いであり、最終階級は伍長であり、戦死後、3等軍曹へと昇進した。
そのときの俺は、大尉へと昇進したばかりでアメリカ海兵隊のオブザーバーとして参加し、その時に出会ったことをきっかけに……画面の向こうのあなたにはわかるよな?
ああ、一緒にいるうちに国と階級、そして年齢の垣根を超えて仲良くなり、とても深い関係になったのは……前世と今も変わらない。
天界こと、ユニオン・ザ・スカイもクーデター後に色々とあって、清廉潔白、処女信仰である必要も無くなったので、彼女は女神へと復職したのだ。
そんな彼女は、ある意味で前世の夢を叶えている訳で、聖職者のように迷える子羊を導いている訳なのだが、平和になった今では、転生者の扱いに困っているご様子だ。
「チートハーレムものの勇者になりたいそうよ?」
「今はニートの元魔王ならここにいるけど、勇者を希望ね……殺るか? おい転生者、お前、人を撃ったこと、あるか?」
「キャプテン、ちょうどいいわ。私、お昼ご飯まだだから、お相手をよろしくね」
おう、これだからアメリカ人って奴はさ、やりたくない仕事をしないから最高だね?
日本人はそもそも働きすぎなんだから、これぐらいがちょうどいいのさ?
そんな元日本人であろう転生者に対し、いくつかの質問を繰り返しても話が成立しないものだから、とりあえず召喚魔法でISUZU の大型トラック(ギガ)、三菱ふそうの大型トラック(スーパーグレート)を用意し、好きな方を選んでもらった上で、もう一度転生したいのか、それともどうしたいのか銃を突き付けながら問いかけてみたのだ。
結果、それまで話の通じなかった転生者は、チートはいらないと言ってくれた。
今度はそうだね、スピルバーグ映画と言えば『DUEL(邦題:激突)』のトラックに似たものを召喚しよう。
これならいつまでも追いかけ回されるからね、ハーレム勇者と言う戯言を諦めてくれることであろう。
とりあえず一丁終わり、久々にジェニファーとランチデートでもするか───。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます