第8話 チュートリアルよ、さらばだクソッタレ!







  あれから色々と試してみたんだ。


 ソ連製は誘爆に弱いので、ここは安心と信頼のアメリカ製、M1A2 エイブラムスならば誘爆しなかった!


 そりゃ設計とダメコンの思想の違いってものであり、ソ連製のコンセプトも決して間違いではないのだ。


 東側、西側問わず、運用するものに問題があればどうにもならず、とにもかくにも頑なにハッチを閉めようとしない、ハローワーク(ギルド)から派遣されたガイドさんが、なにも学ばないことが悪い。


 とりあえずそうだな、戦闘中なんだから不用意に開けっ放しにするなって話だ。


 WW2とは違うんだぞ!


 毎度のように受付での押し問答の末、最近胃薬を常備し始めたギルドマスターには、今度いい酒でも送ってやろう。


 それよりもどうやったらチュートリアルをクリア出来るんだろうね?


 ハローワーク(ギルド)のマスターと激論を交わした末、一人ずつでお願いしますと言われてしまったよ?


 いやいや、俺とウィラの二人がかりでも駄目だったんだぞ?


 二つで一つのピースなのに、片割れでどうにかなるとでも思っているのか?


 ああ、とりあえず提案は飲んでやるが、クリア出来なかったら一個小隊を送り込むぞ?


 そんなこんなで、ウィラはすんなりとクリアした……あれ、なんで?


 ま、そういうときもあるさ、たまには一人の時間も最高にいいのかもしれないね。


 俺だってたまには伸び伸びとさ、ガイドさんを護衛しながら突き進み、今日シフトに入ったのは、ダークフェアリーか……待て、魔王時代の話なんだけどさ、俺にとってダークフェアリーこそが、最強の一角なんだよな。


 何故かって?


 突如空間を割って現れる彼らは、魔法を放って音もなく消えていく奇襲戦法を得意とし、一撃離脱において彼らに勝るものなんてない!


 わかりやすくいえば、軍用ドローンだ。


 やっかいなことこの上なく、諜報活動も得意となれば、この戦力評価はあり得ないだろ!?


 ちょっとガイドさん含め、ハローワーク(ギルド)の連中を問い詰めないと気が済まない。


 とりあえず、今はクリア優先なので、瞬きでモールス信号を送った。


 かつて、ダークフェアリーとはモールス信号でコミュニケーションを図っていたこともあったからか、お馴染みのやり取りといってもいい。


『--.--..-.-...-.-.-.--.-----..--.-.-.-.-.---.-.-.-.--.-----..--.-.-.-.-.---.-(リョウカイ、ワレタイサンス、ワレタイサンス)』


 ちょっと八百長っぽいけれど、ダークフェアリーに退散してもらったことにより、ハローワーク(ギルド)から派遣されたガイドさんが、俺の行動を訝しんだものの、猛抗議の末にオッケイを貰ったので、これにてようやくチュートリアルをクリアできたのであった!


 さ、今日は最高にいい酒が飲めそうだ!


 あと、ウィラからめっちゃ褒めてもらわなきゃね!───。






 ───『チート魔王(元、今ニート)とチート嫁が行く、異世界ダンジョン夫婦漫才紀行』



 ───チュートリアルダンジョン編、完。





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