第8話 チュートリアルよ、さらばだクソッタレ!
◇
あれから色々と試してみたんだ。
ソ連製は誘爆に弱いので、ここは安心と信頼のアメリカ製、M1A2 エイブラムスならば誘爆しなかった!
そりゃ設計とダメコンの思想の違いってものであり、ソ連製のコンセプトも決して間違いではないのだ。
東側、西側問わず、運用するものに問題があればどうにもならず、とにもかくにも頑なにハッチを閉めようとしない、ハローワーク(ギルド)から派遣されたガイドさんが、なにも学ばないことが悪い。
とりあえずそうだな、戦闘中なんだから不用意に開けっ放しにするなって話だ。
WW2とは違うんだぞ!
毎度のように受付での押し問答の末、最近胃薬を常備し始めたギルドマスターには、今度いい酒でも送ってやろう。
それよりもどうやったらチュートリアルをクリア出来るんだろうね?
ハローワーク(ギルド)のマスターと激論を交わした末、一人ずつでお願いしますと言われてしまったよ?
いやいや、俺とウィラの二人がかりでも駄目だったんだぞ?
二つで一つのピースなのに、片割れでどうにかなるとでも思っているのか?
ああ、とりあえず提案は飲んでやるが、クリア出来なかったら一個小隊を送り込むぞ?
そんなこんなで、ウィラはすんなりとクリアした……あれ、なんで?
ま、そういうときもあるさ、たまには一人の時間も最高にいいのかもしれないね。
俺だってたまには伸び伸びとさ、ガイドさんを護衛しながら突き進み、今日シフトに入ったのは、ダークフェアリーか……待て、魔王時代の話なんだけどさ、俺にとってダークフェアリーこそが、最強の一角なんだよな。
何故かって?
突如空間を割って現れる彼らは、魔法を放って音もなく消えていく奇襲戦法を得意とし、一撃離脱において彼らに勝るものなんてない!
わかりやすくいえば、軍用ドローンだ。
やっかいなことこの上なく、諜報活動も得意となれば、この戦力評価はあり得ないだろ!?
ちょっとガイドさん含め、ハローワーク(ギルド)の連中を問い詰めないと気が済まない。
とりあえず、今はクリア優先なので、瞬きでモールス信号を送った。
かつて、ダークフェアリーとはモールス信号でコミュニケーションを図っていたこともあったからか、お馴染みのやり取りといってもいい。
『--.--..-.-...-.-.-.--.-----..--.-.-.-.-.---.-.-.-.--.-----..--.-.-.-.-.---.-(リョウカイ、ワレタイサンス、ワレタイサンス)』
ちょっと八百長っぽいけれど、ダークフェアリーに退散してもらったことにより、ハローワーク(ギルド)から派遣されたガイドさんが、俺の行動を訝しんだものの、猛抗議の末にオッケイを貰ったので、これにてようやくチュートリアルをクリアできたのであった!
さ、今日は最高にいい酒が飲めそうだ!
あと、ウィラからめっちゃ褒めてもらわなきゃね!───。
◇
───『チート魔王(元、今ニート)とチート嫁が行く、異世界ダンジョン夫婦漫才紀行』
───チュートリアルダンジョン編、完。
◇
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