第7話 チャリオットではなく、jack in the box の方
◇
さて、今日もハローワーク(ギルド)の受付にて、受付嬢のため息を聞き流しながら、チュートリアルダンジョン行きの手続きを済ませ、勇者グリーンティのアドバイス通り、どうやったらガイドさんへのオウンゴールを防げるかにかかっている。
まず、俺には便利な召喚魔法というユニークスキルがある。
この間はインド人ダンサーと一緒に楽しく踊った。
インド人ダンサーを召喚出来るってことは、他も可能だと思うので、どうにかガイドさんを守る方法として、物理的に防御を固めればいいって訳だ。
そんな訳でダンジョンに入って早速、紛争地帯でお馴染みのあれを召喚した。
そう、T-72だ。
予算の都合上、モンキーモデルなのは勘弁してくれ。
携帯端末のようなものに表示された数字、今回はルーブルでオッケイらしい。
しかし、この世界においてはなんら問題ない……え? なに、ガイドさん、これ……どうやって動かすんですか?……だって?
ああ、大丈夫、安心と信頼のソ連製だからどうにでもなる。
ガイドさんの無事は、T-72によって担保されたことだし、今度は急なシフトでチュートリアルダンジョンに出勤となった、ミノタウロス君を相手に、騒然とするガイドさんはともかく、ソ連製の戦車は素晴らしいから安心してくれ。
「まおうさま、お久しぶりです。智天使様もどうも、ご無沙汰しております。今日はT-72を連れてどうしたんですか?」
「ミノさんこそなにやってるんだい? お前の迷宮アトラクションよりも簡単なここに、わざわざ出向くって何があったんだい?」
「最近魔王様がチュートリアルダンジョンに現れて、色々とぶっ壊していくと聞いたので、保守点検で出勤ですよ」
なるほど、ダンジョンのことだったらミノタウロスの出番って訳か、納得したよ。
とりあえず、T-72のハッチから顔を出したガイドさんの指示により、ミノさんを倒さないといけないらしいとのことなんだけど……C-4は駄目、RPG-7も駄目、AKMも駄目、マカロフだとミノさん相手には厳しい……どうしたものか?
とりあえず手榴弾を投げることにしようか。
ピンを引いて投擲すれば、ミノさんの持つ戦斧に当たって跳ね返り……あっ、ガイドさんが開けっぱなしのハッチに向かっていったぞ!?
「ガイドさん! 早くハッチを閉め『BUNG!』……伏せろ!」
不用意にハッチを開けっ放しにしてはいけないね?
画面の前のあなた、このあとどうなるか、わかるよね?
T-72の欠点は、誘爆に弱いんだ……またチュートリアルダンジョンをクリア出来なかったよ!
とっさに伏せた俺とウィラ、そしてミノさんは無事なので訓練って大事だね。
保守点検の仕事が増えたミノさんに平謝りし、チップを弾んで今日も従業員専用通路からチュートリアルダンジョンを脱出し、なにも学んでいない俺は、またしてもウィラに怒られてしまった訳さ?───。
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