第3話 チュートリアルダンジョンをリトライ!








  世界で一番綺麗でかわいくて美しい、チャーミングなジト目が魅力的な狐顔美人のウィラは、どういう訳か、とってもご機嫌斜めな様子。


「……せやからな、洞窟内言うたら危険なガスも充満しとるかもしれへんし、火ぃつこうたら酸素が無くなってもうて窒息してまうやろ? あんたな、WW1の塹壕戦と毒ガス戦、それからWW2のようにな、洞窟陣地に向けて火炎放射したらどないなるかわかるやろ!? あんたも元軍人で、士官やったろ!? アホか!? ジェニーの忖度かなんか知らんけど、ダンジョンでロストしても所持金半分で助かるからええねん。命あれば儲けもんやけど、アホなことやるんやったらうちに一言ぐらいなんか言うてや?」


 さて、関西弁で捲し立てるウィラが、これまたかわいくてたまらないけれど、このままでは日が暮れてしまう。


 チュートリアルダンジョン攻略を失敗したままでは、元魔王(今ニート)のまま職業として認められず、ハローワーク(ギルド)に笑われてしまうね。


 それだけは癪なので、もう一度トライしてさっさとクリアしないと今日は二人で飲みに行けないからね!


 愛するウィラに謝り倒し、ようやく許しを得た俺は、ご機嫌になった彼女の笑顔で癒されればHPとやらが回復するって訳さ! HAHAHA!



 さて、ハローワーク(ギルド)の職員から再三に渡る注意を受け、しぶしぶと先導する別のガイドさんに付いていき、チュートリアルダンジョンを散策。


 アイテムを採取したり、モンスターを倒せって言われても……あの、元部下だよ?


 まずは話をしようか。


 今度は道行くゴブリンに声をかけ、スライムから事情を聞いて既に知っているのか、とりあえず……どうにかしてハローワーク(ギルド)の職員を説得しようと言う流れになった。


 しかし、答えは非情であった。


 一応彼らもリスポーンするらしいので、安心して倒しても良いらしく、こうなったら最大火力で行くしかないよね?


 早速、RPG-7を構え、ゴブリンに向かって発射!


 バックブラストを知っているウィラは、即座に俺の側面へと待避し、なにも知らないハローワーク(ギルド)の職員は、俺の後ろに立っていた結果、どうなったか……画面の前のみんなはわかるだろ?


 今度はリスポーンするであろうゴブリン君の口座に危険手当を振り込むよう、元部下たちへあとで連絡しておこう。


 ところでさ、ハローワーク(ギルド)の職員さんが月旅行に旅立ち、リスポーンしてしまった結果、クエストを達成出来なくなってしまったのだが、俺はどうすれば良いと思う?


「いや、あんた……ガイドさん吹っ飛ばしたらあかんやろ? そら誰がクエスト達成を見届けるんや?」


 それはごもっともであり、訓練の行き届いたゴブリン君も咄嗟に伏せたからリスポーンすることなく無事でなにより。


 もちろん危険手当は変わらず弾むから安心してくれ。


 とりあえずそうだね、ここは召喚魔法ってものを試して……インド人でも召喚して一緒に踊ろうか───。








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