第2話 チュートリアル? 知らん!
◇
ダンジョン攻略というアトラクションは、万が一ダンジョン内で死亡した場合でも、装備品だけ持ったままリスポーン出来るらしい。
ヘリボーンやエアボーン(空挺降下)なら前世で経験したけれど、リスポーンと言うのは生まれて初めてだ。
五体満足、装備品も無事、まるで前世で瀕死の重症を負い、頭を撃ち抜いたあと、新しい世界に転生したときのようだね? HAHAHA!
さて、リスポーンしたのはいいのだが、どうしてこうなったのか?
今から説明しよう。
それじゃ、are you ready?
───3
───2
───1
───action!
◇
ダンジョン攻略に興味を持った俺は、早速ハローワーク(ギルド)に登録し、攻略するダンジョンを斡旋してもらった。
ハローワーク(ギルド)から請け負った最初のクエストは、チュートリアルとしてハローワーク(ギルド)の派遣したガイドさんに指導してもらいながら、簡単なダンジョンを攻略していくって訳だ。
折角嫁と二人で観光に来たものだから、ゆっくりと夫婦の時間を過ごしたいものなんだけど、ガイドさんの話に秒で飽きてしまった俺は、何故かダンジョンの中を飛んでいるオオムラサキを追いかけたり、その辺に生えている野草を観察したり、ニホンミツバチを捕まえたりして遊んでいた。
ダンジョンと言うけれど、里山とあまり変わらないのではないのだろうか?
詳しい話は、ウィラがガイドさんから色々と聞いてくれるであろうから、俺は伸び伸びと散策出来るって訳だ。
チュートリアルダンジョンらしく、当然弱い敵も出てくるもので、とりあえず弾が勿体ないから会話を試みるって訳だ。
「Hey, excess me? what are you doing?(やあ、失礼? なにしてるの?)」
「イヤ、マオウサマ、コンナトコロデナニヤッテルンスカ?」
道行くスライムに話しかければ、元魔王のネームバリューって凄いものだね?
スライム君と世間話をしつつ、平和になったものだから、ダンジョンで働いて生計を立てているらしく、彼(?)から色々と有益な情報を得られたことで、チュートリアルなんてどうでもいい。
どうやら隠し通路があるらしく、とりあえず見るからに怪しい色違いの壁を壊せば、ダンジョンの最下層に行けるらしいという情報も得られたのだ。
彼(?)に礼を一つ、そしてチップを渡せばきっと今日の飲み代には困らないことだろう。
そんな訳で早速、見るからに怪しい壁を探していると、俺の行動に気付いたガイドさんが、全力で止めようとするのはなんでだろう?
きっとスタッフ用のバックヤードだから、関係者以外は立ち入り禁止なのか、訪ねてみれば答えは実にシンプルだった。
「この先は立ち入り禁止区域です! 我々ギルドのスタッフもなにがあるのかわからない、危険な場所なんです!」
ふーむ、初っぱなから曰く付き物件って訳だ。
とりあえずそうだな、チュートリアルダンジョンとして、これは危険過ぎるから元魔王の俺が調査しないとね?
その為にまずは……C-4爆弾を設置、信管を取り付けて起爆するのが一番だ。
さ、起爆するかってその時だ。
「トラチヨ! あかん! 洞窟内は火気厳禁や!『ポチっ』……あっ」
ウィラ、それ、早く言ってくれないか?
それだけならただのギャグだったんだけどさ、俺……火薬の量を間違えてしまってね?
どうなったか、画面の前のみんなはわかるだろ?
チュートリアルダンジョンから月旅行へとご案内って訳さ? HAHAHA!────。
◇
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