2ー11.大晦日

「澪ちゃん、そこで煮てる煮干し出していいよ、あと父さん、だし巻きはそっちのギザギザしたヤツで巻いて」


「あ、だれかそっちの黒豆だしちゃってー、白いのはまだださないでよ」


柴田家新居、すなわち旧金咲家で新年会をすることとなり、その準備を早速始めていた。


「にしても御節作るってこんなに大変なのか、、殺人の動機に使えそうなほどだな」


「ミステリー作家なのは解るが縁起悪いこと言ってんじゃねーよ、せっかく縁起物つくってんのに本末転倒じゃねぇか」


「((確かに))」


煮干しを取り出しながらお母さんをみると全く同じ顔をしていた。


■■


「ついに終わったぞーーー」


作業開始から約五時間、ついに御節が完成した。


「おれは年越しそばの準備するからテレビでも見ててねー」


言ったそはから酒カス父さんはグラスと珍しいラム酒を持ってリビングにそそくさと逃げていく。つられて澪ちゃんもリビングに行く中、母さんだけは残っていた。


「環、一つ聞きたいんだけどいい?」


「ん?、何」


「いや、大したことじゃないんだけど。うちの娘のことをどう思ってるのかなーって」


大事なことかと思ったから少し肩透かしを喰らった気がした。


「行っちゃあれですけど、前までは狙ってましたねー」


ちょっとキメ顔で話すが、思ったより受けた。少し笑った後に母さんは話す。


「前まで、ってことは」


「いやー、妹だって思ったらなんか冷める、とは違うけど理性がブレーキになるのか最近は落ち着いて。前まではかなりきつかったけどねー」


「、、そう、じゃあその言葉あの子に伝えとくね」


「チガウチガウ、ソウジャ、ソウジャナイ」


「声マネの完成度スゴ!、」


■■


「そういやさ、うちの息子の事ってどう思ってるの?」


渋いグラスに入れたお酒を飲みながらが話しかけてきた。


「いや、、いいお兄ちゃんだなーとはおもいますけど」


「それはそうなんだけど、、なんというか、ほら"男"としてはどう思う?」


「めちゃめちゃかっこいいと思いますね完璧だけどどこか抜けてるのが最高ですね、まだまだありますよ、、」


■■


「と、ざっと言えばこんな感じですかね、、」


「随分語ったね、じゃあ今のしっかり録音しといたから後であいつに聞かせとくよ」


「えっ、困りますよ、そんなことされたら」


「はは、冗談だよ、冗談。そんな酷いことはしないよ。あと、聞きたいんだけどさ」


「はい、なんでしょうか」


「そこそこ、なんでそんな敬語使ってるの?もっとフランクにさー、血の繋がった父娘おやこだろー」


「いや、こないだ知ったんですよ、何度かあっただけの小説家が実の父親だったなんて。」


「「どっかの皇帝の右腕かよ、、」」


「って話かい?」


「なんでわかって、、」


「まぁ、父娘だから」


「今までそんな素振り見せなかったのに、、」


「だから、これからは俺が支えてやるよ、きみの父親として。そして」


一息ついたあと、一言、お父さんは話した。


「娘の未来の旦那様フィアンセの父としてね」


~あとがき~


ココ最近暑いですね、私は三回ほど熱中症になったので皆様も気をつけてください。

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