2ー10.隠した真実
「二重人格って、、あの?」
「そそ、漫画によく出るあの二重人格」
突然のカミングアウトに一周回って口が開かない。今までそんな素振りもなかったから気がつかなかった。
「ソイツの名前は「
「、、なんか頭がパンクしそうです」
「だろうねー、」
「というか、もうひとりの柴田さん、要は藤原さん、だっけ?とは話せないんですか?」
咄嗟に思い付いた疑問を
「無理だねー、おれだ寝てるときに出てくるから、やろうとしても話せない」
「そうですか、、」
「なんか辛気臭いな、、そういえばさ、明後日には退院するらしいからお正月の御節には間に合うよ」
「ほんとですか、ならよかったです。というか、、御節も作れるんだ、、女としての自覚なくす、、」
崩れ落ちる私をみて彼は笑った、がすぐに脇腹を押さえる。頬は赤いのに額は青ざめるという訳のわからない顔を横目に「大丈夫だから」と彼に言われる。絶対大丈夫じゃないのに、、
「いや、ごめんごめん。反応が面白くて笑っちゃったんだけど脇腹が痛くってさ」
「いや、こっちは大丈夫ですけど大丈夫そうd」
「あっそうだ、今後の予定だけどさ、」
「、、はい」
ダメだ、この人は自分を大事にしていない。そう思ったのも束の間、すぐに今後の説明が始まってしまった。
■■
「にしても、義理とはいえ兄妹かー、どうやって絡め捕ろうか、、」
病院での会話が終わり、部屋に帰ってくるとついついニヤケが止まらなくなっていた。
「私は最後のカード扱いだったらしいけど、いまとなってはお母さんが最初のカードだよ、、」
本当にお母さんには感謝しなくては、偶然とはいえより"繋がりやすい"立場になったのだから。
「天とか神とかは今まで信じてすらいなかったがこうなると信じたくなってくるね、、」
そんなことをいってベッドに横たわる。そして枕元に山になっているノートとファイルを広げる。それは、先ほどもらった"資料の完成形"。以前から母に頼んでいた"調査"が終わったらしい。
「零歳児から今までの完全記録、大変だったろうなー。何せ幼少期の記録はほとんど消失していたらしいからね、、」
改めて資料をみて、決心する。
「待っててね、私だけのあなた」
■■
病院の一室、ある男は決心していた。
「気になっていた女の子が妹になった、、これはゆゆしき事態だ」
漫画でしか無いような展開が現実に起きている。そんな状況だが、どこか安心すると同時に幸福感を感じていた。
「あの"妹"は守らなくては」
今の自分ではできるかはわからない。だとしてもたったひとりの妹(さっきできた)は必ず幸せにしなくては、そんな決心が彼にはあった。
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