2ー4.酒の勢いと瓜二つ

「そういえば、古見の妹さんとはいつから交流から?」


「えっと、、元々一人が好きだったから一人でいることが多かったんですけど、"ボッチ"と勘違いされて話しかけられたのが最初、です。」


そう話すと笑おうとしたのか一瞬笑みをこぼしたが、すぐに顔を青くして胸を叩く。少ししてワイングラスに残ったワインを一気に飲み込んだ。それでも足りなかったのかボトルを持ち、そのまま口に流し込む。マグナムサイズのボトルが空になりそうな頃、呼吸が再開した。顔色が回復すると同時に彼はしゃべりました。


「はぁ、、死ぬか、と、、思った、、。つか、いやいやまじかよ」


一度大きく息を吸う、二度、三度、四度、、、。計七回深呼吸をしてから、彼はその言葉を話した。というか!そんなに苦しかったんだ、、。


「俺と古見も同じ出会い方したよ」


「えっ、ほんとですか!」


「ここで嘘ついてなんになんだよ、俺が学校の角でヤニ吸ってるときにアイツが来てな。そんときに一緒になって吸ったんが最初だよ」


「へー、そう、、ってヤニってたばこ?!。ダメじゃないですか!」


「俺ら昔は荒れてたんだよ、二人で悪も色々やったよ。他校の喧嘩集団ぶっ潰したり、当時合法だった"お薬"吸ったりね」


「、、、ほんとの悪だ。てか、そんなにヤバイ人だったとは」


「確かに当時はヤバイやつだったな。でもさ、は嫌いかい?」


ニヤリと笑いながら話す柴田さんを見て、ふと初めて古見兄さんとあった時を思い出した。


■■


「えー、この見てすぐわかる危なっかしいクズバンドマンが私の兄でーす」


「いやいや、そんな自己紹介はひどくないかい?あと、金咲さんだっけ」


一拍おいて、ニヤリと笑いながら話しかける


は嫌いかい?」


「嫌いだよ、馬鹿」


■■


どうみても目の前の柴田さん色男はあのときの同じ顔をしている。"女を堕とす"、そんな顔を、、。


「で?、どうなの?」


「ふぇ、、え!」


「どうかした?」


「いっいえ、なんでもないです」


はぐらかそうと咄嗟に出てきた言葉をつなぎ合わせる。すると、彼は「ふーん」とにやけながらこちらをみた。そして、すぐに口を開く。


「そんなこと無い癖にー、っていうかさ、多少は意識して欲しいんだけどなー」


「、、、ふぇえ?」


「だから、ってことだよ」


「柴田さん、、だいぶ酔ってます?」


「当たり前だよ、酔わなきゃこんなこと言わないよ」


よくよく見ると先程より顔が明らかに紅くなり、表情も心なしかフニャけている。


「あの、明日の事も考えると、今日はこの辺でお開きにした方が、、」


「んー、そうだね、そうしようか」


「え、アッハイ」


その一会話によってあっさりと楽しかったパーティーは終わってしまった。ただ、今まではなかった充実感というものが心に植え付けられている。


「、、こんな楽しいクリスマスなら、来年も楽しみだな」


今このときは、そんなことを本心から言える気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る