2ー2.叶う夢は遥か先
「そういえば、今日ってクリスマスだよね、まだ冬休みじゃないから忘れてたけど」
目の前にプレゼントらしき小包を持ったお母さんに目をキラキラさせながらホットココアを飲む子供を横目に、雫と二人で下校していた。
「あー、そういえば。昔からクリスマスにはいい思い出が無いんだよね、、」
「へー、そんなひどいことがあったの?」
「ひどいっていうか、欲しい物はもらえるけど、「お母さんとの時間が欲しい」って願いだけは叶わなかったっていうね」
「まじか、、ミオちゃんがそんな純情少女だったとは、、」
一瞬イラっとしたが、一度ため息をついて話す。
「こんな感じで、なんか期待を裏切られた感じがしてねー」
「確かに、それが続けばそうなるよなー。じゃあさ、プレゼント交換とかしてみる?」
「プレゼント交換かー、今までしたこと無いかも、」
「じゃあ明日は終業式だから、終わったら一緒に買い物行こっか!」
「了解、予定たてとく」
今年はどうやら、例年よりましなクリスマスになりそうだ。
■■
「さて、これをどうしようか、」
少し前、新しいマフラーが欲しいと思ってネットでよさげな物を見つけたため、買ったはいいものの、、
「、、色ミスったー」
黒一色の物を頼むつもりだったのだが、届いたのは黒と白のチェック模様、急いで履歴を確認したが、注文事態を間違っていたらしい。
「返品するのも面倒だし、かといって使わないからなー、、そうだ!」
我ながらいいアイディアを思い付いた。今さらだが、今日はクリスマスだ。これを利用しない手は無いだろう。
■■
「ただいま」
「お帰り、今日は早かったね」
リビングに入ると、本来は家でかがないようなローストチキンかなにかの匂いがした。
「えっと、、何を作ってるんですか?」
「
「mjsk?」
「mj」
普通なら買ってくるんじゃないの?、
「よし、できたみたいだなテーブルに座っといて」
言われた通りに"テーブル"に座ると、後ろからゲラゲラと笑い声が聞こえた。
「あー、間違えた間違えた。テーブルじゃなくて"椅子"に座ってくれ。」
「あ、、ぁ、ぁ、スミマセンデシタ」
「いや、いいよいいよ。おもしろかったからね」
そう言いながら普段より気合いの入った料理が運ばれる。
「よっこらショット」
最後に
「それじゃあ、始めようか」
空のワイングラスを二つ持ち、片方を私に向ける。そこに私のグラスにはブドウジュースを、彼のグラスにはポートワインと書かれたグラスを傾ける。
「それじゃあ、乾杯~」
「乾杯ー、」
外では夕焼けが焼け切れた。この日、私の人生でもっとも長く、黒く、深い夜が始まった。
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