15.真夜中の秘密1

「ただいまっと」


古見兄妹を無事に送り届け、帰宅した頃にはすでに日付は変わっていた。ネクタイを緩め、シャツのボタンを外しながら廊下を進むと、風呂場のドアが空き、同居人が顔を出してきた。


「あ、、お帰りです。、、先にお風呂、というかシャワーいただきました」


風呂から上がってすぐの美少女同居人だった。圧倒的なルックスを引き立てるダボっとした白Tに半ズボン(長さが膝上だから違うかもしれんが)を履いた部屋着、ほんのり湿った肌は様々な欲を書き立てる。いくつか水滴のついた首筋、真っ白い肌が見える腕、上げ始めたらキリがなさそうだ。


「ん、、了解、おれも少ししたら入るわ、、。」


そう一言残し、自分の部屋に向かう。そして、大きなため息をして扉を背に座り込んだ。


「あれは危なかったな、、危うく"手"が出るところだった」


なんだあれ、まるで襲ってくれと言うような格好で、あんな顔で、、。


「不味いな、、意識し始めてる」


相手はまだ高校生、。いや、それ以前に同居人だぞ、、まったく、、。


「はは、、恥ずかしくってしょうがねぇったらありゃしねーや、、」


まったく、、どうしたらいいんだよ、、。そんなことを考えて、しばらく部屋から出れなかった。


■■


「やっば、、かっこよかったな、、」


風呂上がり一番にみたのは黒いネクタイを緩め同じような黒いシャツのボタンを1つずつ外して


漫画やドラマでしかみないような"イケメンがだらしなくするシーン"。古見兄さんと雫ちゃんを(古見兄さんに関しては嫌々)送り届けた時点でつかれていたのだろうが、、。


「色気が、色気ヤバかったな」


ただでさえド好みなルックスの"男"にあんな格好をされたら、、


「あー、やな汗かいてきちゃった」


正確には"汗だけじゃない"のだが、、。


「はぁ、、一回シよ、、」


部屋にある"マッサージ機"をとったところで、扉がノックされ奥から声が響いてきた。


「あー、それじゃあ風呂行ってくるから、何かあったら対応してくれな」


息が荒くなる。体が熱い。部屋中に音が響きそうな過呼吸に陥っている。


「まって、、お風呂ってことは、、」


前日、使い方を教わったときに言っていた。


《脱いだ服はこのカゴにいれといてね、、》


「、、、やるか、、」


急いで脱衣所に向かい、横でシャワーを浴びる彼の横をすぎ、カゴに手を伸ばす。一番上にあった肌着、その下にあったシャツを取り、急いで部屋に戻る。


あの人が悪い、、だからこれは"正しいこと"だ、、大丈夫、ばれなきゃ犯罪じゃないんだ、、」


自分をさんざん正当化したあと、自分の欲に、正直に、堕ちてゆく、、。


「「あぁ、最低だ、、」」

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