13.偶然は重なりあう。

「あー、また負けたー、もう一回!」


レースゲームで圧倒的な実力差を見せつけられ、不機嫌になっている雫を背に圧勝したこちらは気分が上がる。


「始まる前はさ~んざん煽ってた強気な雫はど~こ行ったのかな!」


「くっ、この~」


「なんで負けたか明日までに考えてくださ~い」


どっかで聞いた台詞を高らかに宣言した。と同時に記録をみると、、


「あちゃー、全12試合の内私が1位だった勝ったのは12回、一方でそちらはよくて3位、CPU なんかに負けてるんじゃあ未来はないよ?」


「なにも言い返せない、、。よし!次こそ勝つ!もう一回!」


「ハイハイ、じゃあ次はこのコースでっと」


コースを選択しようとした時、玄関から鳴ったチャイムが家中に響いた。


「多分同居人柴田さんだと思う、出てくるよ」


「、、はーい」


小走りで玄関に向かい、鍵を開ける。そして、


「ただいま~&お邪魔しまーす!」


「えっ、古見兄さん!なんで!ってか酒臭い!」


「環がね~夜ご飯作ってくれるらしいからね~、きちゃった~」


呆気にとられていると、後ろから柴田さんが話しかけてきた。


「こいつ、ここに来る前に缶チューハイのロングを三本飲んでっから、まともに相手しない方がいいぞー」


ロング缶を三本、響きからしてヤバイのは未成年でもわかる。驚愕しているこちらを裏目に古見兄さんはズカスカと家にはいる。それに続いて柴田さんもため息をつきながらはいってくる。少しの間フリーズしたものの、私も急いでリビングへむかった。


「って、なんで試合やってんの!」


「コーでもしないとミオちゃんに勝てないから、てかお兄ちゃんがなんでここに?」


こっちでナンヤカンヤしてたのに戻ったらこの仕打ち、ヒドイ。そんなことを考えていると、後ろから声がかかった。


「ちょっと変わってくれるかい?打開するから」


そういうと柴田さんは実に"圧倒的"な実力を見せつけた。アイテムを使わないショートカットに運任せの妨害を読みきった上にそれらを駆使していつの間にか二週近く開いた差を埋め、最下位から1位へと返り咲いた。


「っとこんなもんかね、、」


そう言って一人、静かにキッチンへと歩く。


「アヒャー、腕はまったく落ちてないなー」


「そりゃそうだ、簡単には落ちないよ」


笑い話のように話す男二人を私たちは呆気にとられて見るしかなかった。


~あとがき~


しばらく投稿できなくてすみません、しばらくはここまで感覚が落ちない(と思う)のでぜひハートやフォローをして待っていてください。

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