12.酷評とはこのことだった

「で、好きになっちゃったと、、。ちょろいよ、ミオちゃん」


「ち、ちょろくないよ!」


学校の昼休み、学食で買った菓子パンをほうばりながら雫と話していた。


「ちょろいよー、たったそれだけで相手を意識しちゃうんでしょ?」


同棲2日目にして、同棲相手を好きになる。自分でも異端なのはわかるが、、


「だってさ?、イケメンで家事全部できて、ユーモアがあって、笑顔がカッコよくて、こんなの惚れるじゃん!」


「ちょっとなに言ってるかわからないっすねー」


「何でだよ」


どこぞのサンドイッチ男のような返しをしてしまった。そんなことにも雫は構わず話す。


「いや、これが同棲一年、せめて半年たってたらわかるよ?でも2日、2日目でこれは無いよー」


「いやー、カッコよさには敵わないよ、」


「まぁ、かっこいいとは思うけど、私好みじゃあないんだなー」


「逆に雫はどんな人が好みなの?」


「お兄ちゃんみたいな男前タイプのイケメン」


「ブラコンかいな、てか古見兄さん以上のイケメンってなかなかいないでしょ、、」


何故か回りの男子が頭を抱えたり保健室へと向かっていくが気にしないで置こう。


ピロン


雫のスマホが鳴る。と同時にガッツポーズを決めた。


「なになに?どうしたの?」


「みてよ、こんなん顔面偏差値の暴力だよ」


掲げられたスマホには、、古見兄さんと柴田さんの二人が写っていた。帽子からチラッと見える眼光、にやけた口元。純黒に近い髪は凄まじい色気を醸し出す柴田さん。それとは相反して真っ白い歯を見せ、軽やかにウインクをきめる古見兄さん。美形と男前というちがうタイプのイケメン2人に目がやられる。


「ゥッ、、コレハ、、」


「うん、コレハ、、」


「「イケメンの暴力だ!!」」


叫ぶと同時に数名の女子が寄ってくる。皆写真を見してくれと頼み込んできた。それとは反対に男子の皆様方はそそくさと教室を後にしたのを私達は見逃さなかった。


■■


「あ、さっきの写真妹に送ったから」


大学の図書館、久々に入った空間は静かで暗く、相変わらず誰もいない、最高なロケーションだった。


「いや、何過去形で話してんの?」


「俺の妹に送るんだから別にいいじゃん」


「いやいやいや、だとしても一言声かけるとかしなよ。俺以外にやったら嫌われるからな」


「残念だったな、お前以外にゃやらないよ」


たちが悪いと思ったが口には出さなかった。同時に、ポケットに入れたスマホが振動した。


『友達が家に来たいと行っているのですが、家に入れてもいいですか?』


まったく、こいつ古見とは雲泥の差だな、育ちのよさが滲み出てる。


『別にいいよ、楽しんでね』


返信をして、振り返る。


「終わったか?話」


「終わったよ、わざわざすまんな」


「てかさ、今日は親いなくてよ、、飯つくっ」


「いいぞ。ただ、おかわりは期待するなよ」


いやな予感がして昼間の間に下準備を終わらせてよかった。


「んじゃあ、家に帰るか」


「よっしゃぁ、ただ飯だー」


、、本当にこいつはダメだな、昔の心配性な頃の方がよっぽどよかったな。

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