10.深夜2時、黎明と呼ぶには早すぎた
「あの、柴田さん。ちょっといいですか?」
時刻は深夜2時、夕焼けとは掛け離れ、朝焼けとは程遠い、そんな丑三つ時に彼女は話しかけてきた。
「金縛りにでもあったかい?」
笑いながら話すと、顔を強張らせて言った。
「あの、すみません。緊急事態です」
なにがあったか聞こうとすると、絶望した声で一言だけ話した。
「Gが出ました、、」
「マジかよ、、ここ数年出てないぞ。」
「残念ながら、これは現実なんですよ」
「あぁ、、多分空き部屋を君の部屋にしたからそんときに出てきたんだろうな」
まったく、世の中は不条理に包まれている。善行は褒めず、一度やった悪行のみを見られ、怒られたり、昔の経験がトラウマとして植え付けられたり、Gが出たり、、。
"世の中、不条理なもんだらけだ"
、、最後のは違うか。
■■
「てか、よく気づけたね」
ティッシュにくるみ、いまいましき骸を片付ける。同時に気になったことを聞いてみると、、。
「じつは、夜更かししちゃって、、」
まてまて、、"まだ2時だぞ?それで夜更かし?"
「良い子過ぎるでしょ!今までは何時に寝てたん?」
「えっと、遅くても12時には、、」
「いや、早いな。逆によく寝れるね。俺は元々夜更かしばっかしてるし、睡眠不足の辛さもショートスリーパーだからわからないわ」
「そうですか、、。」
「逆に、今まで夜更かししなかったんだろ?『大人の夜の楽しみかた』って物を教えてやるよ」
普段よりも調子がいいからか、通常時よりもテンションが高くなっている。お互いが特別浮かれているこの雰囲気を崩さないように、「今だけは大丈夫」とでも言うように甘く、魅力的な誘いを掛けてみる。
「大人の、、、やってみます!」
「よしきた!、ただ声はおさえてね」
一言忠告して、キッチンへ向かう。先日の残りのサラミと何種類かのチーズ。最後に知り合いから前にもらった土産のアップルパイがあったから、更に盛り付け、テーブルに置く。
「飲み物は、、暖かいココアにでもしようか」
「深夜にココア!、、お願いします」
カロリーでも計算したのか、一瞬固まったあと首を降って注文をしてきた。
「それじゃあ、ミルクと砂糖をたっぷりいれとくよ。後先考えずに"今"を楽しむのが『大人』ってやつだよ」
自分への甘やかしでもあるが、多分あっている、、はずだ。少なくとも、父さんはいつも言っていたし。
「あ、ありがとうございます。」
「だからさー、もっと砕けていいんだって」
「、、ありがとう」
「どういたしまして」
少しずつ砕けていくのを見るに、なれるまで時間はかからないだろう。この調子で仲を高められれば良いが、、。そんなことを考えながら、二人で甘ったるいココアを楽しんだ夜だった。
~あとがき~
あとがきをどこにかけば良いかわからなかったけど、ココに書けばよかったのかと気がついたのが今朝。さて、ついに10話になりましたが、今の所、私の作品は楽しめてもらっていますか?今後は投稿頻度が落ちるかも知れませんができる限り落とさないように頑張ります。
最後になりますが、是非とも「フォロー」に「♡」、「レビュー」をして応援してください。コメントも待っています。 数多怜悧
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