7ー2.昼下がりの喫茶店にて

木の温もりを感じれるテーブルに、料理が運ばれてきた。自分たちの辺りには、甘く、美味しそうな匂いが漂ってきた。


「で、だよ。今のところの関係は?関係は」


「別になんともないよ?只の同棲相手、いわば同居人と家主、それだけだよ」


「イケメンで仕事ができて、料理もうまくて、おまけに家事も大体できるんでしょ?超、超、超優良物件じゃん!しかも彼女いないんでしょ?もらっちゃいなよ!」


「ぶっ、、ぇほっ、、」


思わず吹き出してしまった。急にとんでもない事をぶっ混んで来たものだ。


「な、なに言ってんの、てかまだ会って一日目、発展も別にないから」


「ふーん、そっかさっきの写真見る限り良いと思うんだけどな、てかあの顔どっかで、、」


「うん、どうしたの?」


「いや、その人どっかで見た気がするんだけどなーって」


「他人の空似じゃない?、雫は人の事覚えるの苦手だし。」


「そうかー、」


「そーそー、気にしなくて良いと思うよ」


そんなことを口にしながらフレンチトーストを口に方張る。直ぐに口のなかにバターの風味が広がり、添えられたラズベリーのジャムの酸味と相まって美味しさが引き立っていた。


「というか、勇二兄さんは元気?最近バンド始めたんだってね」


「うん、お兄ちゃんもうモッテモテだよ!声が元から良いからギタボでガンガンに盛り上げてるよ」


「ならよかった。また今度ギターを教わりに行きたいから時間あったら連絡してって伝えといて?」


「にしても、ギター弾けるって良いよね、いつかバンドでも組むの?」


「いや、ネットに投稿してるけどそれくらいかな、最近動画が延び始めたからもっとレベル上げないとね」


「あひゃー、さすがだね努力の天才だよねミオちゃんは」


「やりたいけとをやってるだけだよ、それに」


一度言葉を区切り、服を見せつける。


「こーゆう服を着て、しかもギターうまかったらかっこよくない?」


今日は今までよく着ていた白い清楚な服ではなく、今日は革のジャケットを羽織った全身黒のコーデだ。本音を言えばこんな服装が好きなのだが、実母の言いつけで着れなかったため今の開放的な暮らしは(まだ一日目だが)気に入っている。


「今まで実家じゃあ着れなかった服を着れるようになったから、やる気も上がった感じがするよ」


「言われてみれば今日のミオちゃん、なんだか大人っぽいというか、ダウナー美女って感じがしてかっこいいね!」


「そんなべた褒めしないで、、恥ずかしい」


あまりにストレートに言われるものだからびっくりしてしまった。顔を赤くするこちらを気にせず、雫は続ける。


「いやいや、本心だよ!なんか、こう、黄昏時にいたらフッと消えそうな淡い感じって言うのかな?存在感はあるのに儚げで、すぐに壊れてしまいそうな『ガラス細工』みたいなイメージだし、、」


「ごめん、めちゃくちゃ恥ずかしいきらここら辺で、、、」


このドがつく天然滴しには一度きつく言った方がいいのだろうか。赤みが消えない顔を隠しながら、昼下がりの喫茶店で二人で笑いあっていた。

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