第19話 コショウの実
「レオル様、こちらの作物はどのようなものなのですか?」
「こっちのは『コショウ』と言って、実が香辛料になるみたいだね。これも支柱につるが巻き付いて成長するみたいだから、エンドウを育てていた場所で育ててみよう」
開拓者スキルのレベルが2に上がったことによって新たな作物の種をポイントと購入することができた。まずはコショウという作物の種をポイントと交換する。
ウインドウの説明によると、コショウの実を乾燥させるとコショウという香辛料になるらしい。この開拓地だと味付けは街で購入してきた塩しかないから、新しい香辛料があるとすごく助かる。
それに香辛料は街でもそこそこの値段で取引されているから、街で販売すればお金としての収入を得ることができるはずだ。
「他の作物もたくさんあるけれど、畑のスペースが足らないから順番に育ててみよう」
「承知しました」
「楽しみだね、レオルお兄ちゃん!」
他にもたくさんの作物の種をポイントと交換できるようになったけれど、畑とポイントが足りなくなるから、順番に育てていくことになる。新しい作物の種は10ポイントと交換できたから、小麦とコショウともうふたつの作物の種と交換をして、残りは10ポイントになった。
家に畑、木材にその他もろもろ。本当に何もかもが足りていないけれど、少しずつ揃えていくことにしよう。
「よし、今日はこれくらいにしておこう」
今日はもう日がだいぶ傾いてきた。新たに開拓民を受け入れてから人手がだいぶ増えてくれたけれど、作物の育て方を説明したり、作物を収穫したりしている間に一瞬で時間が過ぎてしまった。
「レオル様、我々はまだ働けます!」
「ええ、私もまだ大丈夫です!」
「初日から飛ばし過ぎてもよくないからね。それにもうほとんど終わっているし、残りは明日やろう」
みんなはまだやる気があるみたいだけれど、初日から飛ばしすぎるのは良くない。明日からもすることはいっぱいあるし、短期的に考えるよりも長期的に継続して働いてもらうことを考えないとね。
「おお、これはすごいね!」
晩ご飯は昨日と同じたくさんの野菜を使った料理がずらりと並んでいるけれど、昨日のシートの上で座って食べる食事とは違って、今日は大きなテーブルの上でイスに座って食事を食べることができている。
「たった一日でもうこんなに立派なテーブルとイスを作ってくれたんだね、ギル」
「そこまで凝った造りではないから、こんなもん朝飯前じゃ。それよりもレオル様の方がよっぽどすごいわい。まさかこんな荒れ果てた土地に一瞬で土の壁や畑を作り出すんじゃからのう」
もちろんこのテーブルとイスはドワーフのギルが作ってくれた。ポイントで交換した木材を使って、たったの一日でこの開拓地にいる人数分のイスとテーブルを作ってくれたのだ。
「それに今日の飯も本当にうまいわい。開拓地に来るということじゃったから、しばらくはロクなもんが食えんと思っていたぞ。こいつは嬉しい誤算じゃ」
「野菜だけならいくらでもあるからね」
「それにどの野菜も街では見たことがない野菜じゃが、とてもうまいわい!」
「ええ。こんな野菜は初めて食べましたが、どれも本当においしいです!」
「ありがとうございます、レオル様!」
「レオル様、とってもおいしい~」
ギルに続けて他のみんなもおいしそうにご飯を食べてくれている。みんな昨日は少し遠慮があったけれど、今日はお腹いっぱい食べてくれそうだ。開拓者スキルのおかげで、あれだけ早く野菜が育つことも見てくれたし、今日はみんなも畑の手伝いをしてくれたもんね。
「さて、それじゃあ今後のことについて話し合おうか」
食事や後片付けが終わって、今このテーブルには僕、ルーベル、セシル、ミーシャ、ドワーフのギル、開拓民の代表として60代の男性のコランさんが参加してくれている。
「あ、あの。本当に私が参加してもよろしいのでしょうか……?」
「はい。皆さんの意見も聞きたいんです。この辺りのことや街の暮らしはほとんど知らないので、遠慮なく話をしてくれると助かります」
他のみんなはすでにもう休んでいる。ミーシャもすでにだいぶ眠そうで、先に寝ていてもいいと伝えたんだけれど、みんなとの話し合いに参加したそうだったから出てもらった。朝もルーベルとセシルだけで話したし、仲間外れになるのは嫌なんだろうな。
コランさんは元々畑を耕していたことがあるらしいし、いろいろな意見をくれることを期待している。
「僕の開拓者スキルのことは見てもらったけれど、ああやって施設を作っていくのは時間が掛かるんだ。だから当面は作物を育てながら、この開拓地の施設を強化していこうと思っているよ」
3人以外には具体的なポイントのことまでは説明していないけれど、新しい畑や家を建てるには時間が必要だと伝えてある。
野菜の方はこの人数でもまだまだ十分な量を確保できることが分かった。野菜が確保できたとなると、次は肉をどのように確保していくかを考えていきたい。
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