うまみ
昨日、お休みの日にリビングに寝っ転がって YouTube を見ていたら、「料理研究家リュウジのバズレシピ」のリュウジさんが「味の素は体にいいわけではない、その理由はナトリウムだ」と仰っていました。
それがちょうど JJM(JAPANESE JUNKFOOD MANIAX)の書き溜めにあったこちらの話とかぶっていたので、出し惜しみせずエイヤと出してしまうことにしました。
リリースを迷っていたのは、物議を醸し出しそうなちょっとセンシティブな話題だからですが、味の素と言えばこの方、リュウジさんに勇気をいただきました。
本当は料理以外の、文化やマナー、調味料などにフィーチャーした記事はもっとずっと後にリリース予定だったのですが、別に強いこだわりがあるわけでなし、たまにポツポツ公開していこうとおもいます。
ちなみに書き溜めているのは調味料シリーズ、日本独特のマナーの話、文化祭やお祭りなどのイベントの話です。
もしリクエストがあれば、それを先にリリースさせていただきます。
▽
人間の舌に旨味の受容体が発見される1900年ごろまで、人間の味覚は塩味、甘み、酸味、苦味の四種類だと思われていました。
しかし、今では旨味の存在は常識です。
肉や魚はもちろん、ほとんどの野菜にも旨味は含まれています。
これらのほとんどは、タンパク質を構成するアミノ酸からなり、タンパク質を必要とする生命体である私たちが旨味を感じる能力を持ち合わせているのは、必然と言えるでしょう。
日本人はことさらに旨味に対して感受性が強く、1770年代にはすでに「出汁」についての論文があります。
旨味はなんらかの単一の物質からなるものではなく、大変さまざまな物質が複雑に絡み合って効果を発揮します。
その中でも、グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果はすさまじく、単体よりも組み合わさった方が数倍の強い旨味を感じさせます。
日本料理は一見素材を切っただけのような料理が多いと思われがちですが、その多くは相乗効果を狙って組み立てられています。
これらの技術は、近年になってフードペアリング学などの形で研究、再評価され、科学的なアプローチで見直されています。
しかしそんな中、長年槍玉に挙げられている物質があります。
それが M.S.G.、グルタミン酸ソーダナトリウムです。
# 賛成派と反対派、双方の誤解
残念ながら、ジャンクフードを語る上で、M.S.G. は無視できません。
もちろん無化調(M.S.G. free)のものもたくさんありますが、M.S.G.が含まれていなくとも、グルタミン酸が含まれていないことは、まずありえません。
というのも、グルタミン酸自体はほとんどあらゆる素材に含まれており、例えば私たちの体も約2%がグルタミン酸から構成されています。
WHO でも「身体への悪影響なし」ということで、使用量の制限無しとされています。
では、M.S.G. が完全に無害か? と聞かれれば、話はそう簡単ではありません。
実は問題となるのはグルタミン酸ではなく、ナトリウムの方です。
それでなくとも塩分の強いのがジャンクフードです。
これ以上ナトリウムを過剰摂取するのは望ましくないですし、それ以上に問題なのは、グルタミン酸の旨みが、塩分を感じにくくさせる効果があることです。
ドバドバとM.S.G.を大量に使うような料理は、必然的にに塩分も強くなりますので、確実にナトリウムの過剰摂取になります。
イノシン酸と相乗効果をもたらしている場合はそれが顕著で、塩分濃度が3%を超えるラーメンスープも存在します。
参考までに、M.S.G.の塩分相当量は、重量の約30%もあります。
うま味調味料のナトリウムも計算すると……なんということでしょう、5%を超える塩分濃度の料理が存在するということです!
これでは明らかにナトリウム過剰です。たまのご馳走として食べるならともかく、あまり頻繁に口にするのは控えた方が良いでしょう。
ラーメンのスープなどは、ちょっとでもしょっぱいと感じたら、全部飲み干さない方が体のためにはいいでしょう。
しかし、科学的視点からすれば M.S.G.を極端に恐れる必要も、またありません。
少なくとも日本メーカーのうま味調味料は、砂糖などと同じく、全て天然素材を素材に、発酵などの過程を経て作られます。適量を使う分には全く問題ありません。
とはいえ、気分的にM.S.G.を摂取したくないと思うのであれば、それも自由です。
嫌なものを無理に摂取するのはよくありません。
正しい知識を得た上で、それをどう生かすかは、当人の問題だと思います。
それぞれがそれぞれの思う、適切な距離感で付き合うのが一番だと思います。
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