第130話
ミリアさんから得られた情報の一つである古代の神殿でアイテムを手に入れることができた。
王都に戻るのに時間もかかるので、俺たちは神殿での激しい戦いを終え、疲れた体を休めるために、近くの村で宿を取ることにした。
この辺りでは冒険者が休めるように、村人が一軒家を貸してくれる。
いつも通り、俺たちは一軒家を借りて、体を休めることにした。
「すみません、お部屋を貸していただきたいんですが」
俺は村の村長に話をつけて、事情を説明すると、優しい笑顔を浮かべた村の女性が案内してくれる。
一軒家の鍵を手渡してくれた。
「ええと、五人ですので、少し広めの家を準備させていただきますね。お風呂も自由にお使いください。今夜はしっかり休んでくださいね」
「お風呂があるんですね」
「はい。お客様用の一軒家ですので」
彼女の心遣いに感謝しつつ、俺たちは案内された家に向かった。
家に入ると、広々としたリビングがあり、しっかりと整った寝室もいくつかあった。風呂場も清潔で、しっかりとした浴槽があるのがありがたかった。
「ありがとうございます!」
「それではゆっくり休んでください」
女性が立ち去った後は、いつも通り、ルリが料理をしてくれて、それぞれが家と同じようにリラックスするように休み始める。
俺も個室を借りて、二人一組で休むことになった。
「食事の後は、それぞれお風呂に入ってくださいね」
「さあ、まずは一息つこう。風呂に入って、体を休めよう」
俺たちは一息ついて風呂の準備を始めた。
浴槽にお湯を張り、体を軽く流して湯に浸かると、緊張していた体がじわじわとほぐれていく。戦いの疲れが癒されていくような気がした。
「ご主人様、どうぞお風呂に入ってください」
「ありがとう。みんなの後でも」
「いえ、ご主人様が最初で」
「そう?」
「はい!」
ルリの笑顔の圧力に押されて、俺は一番風呂をもらうことになった。
だが、お風呂は浴槽のあるだけの簡易のもので、村のお風呂は貴族や冒険者が滞在するように用意されているのだろう。
村々の中には、旅人などを招いて、おもてなしすることで、子種の提供を求めたり、金銭を稼ぐと聞いたこともある。
もしかしたら、そういう村だったのかもしれないな。
俺たちは女性が多いので、村から寄越すことはないだろう。
「ふぅ、気持ちいいな」
体を軽く洗って、湯船に浸かる。湯気が辺りを包み込み、しばしの安らぎに浸っていたそのとき、静かに扉が開いた。
「ご主人様、ご一緒させてもらいますね」
「えっ?!」
ルリが微笑みながら入ってきた。そしてその後ろには、少し照れたような表情のクルシュも続く。
「ルリ! それにクルシュも入ってくるのか?」
俺が少し驚いて尋ねると、クルシュは視線をそらしながら頷いた。
「だって、ソルトが一番疲れてるだろ? 今回の神殿は、死属性のダンジョンだった。ソルトは一番魔力を使って、指示を出していた。私たちで癒してやりたいんだよ」
「そうです、ご主人様。今日の戦いであなたがどれだけ力を尽くしてくれたか、私たちはよく知っています。少しでもお手伝いさせてください」
ルリはその豊満な我儘バディーをタオルで隠している。
そして、クルシュ……。
彼女の肌を見るのは、初めてだ。
思いを告げられて、キスをした。
抱きしめもした。
だけど、銀色の髪に白い肌を初めて明るい場所で見た。
ルリが優しく微笑みながら俺の肩に手を置き、さっそく体に泡立てて洗い始めてくれた。
「失礼します、ご主人様。クルシュさん。私のすることを見ていてください」
「わっ、わかった!」
美しいクルシュが、ルリの洗体術を見つめる。
「ご主人様、痛いところや痒いところはありませんか?」
「無いよ。丁度良い力加減だ。気持ちいいよ」
「ふふ、よかったです。クルシュさん、一緒に」
「ああ!」
クルシュもタオルを取って、自身の体に泡立てる。
「しっ、失礼する」
「えっと……」
「ルリに比べれば、筋肉質で、肉付きが物足りないかもしれないが」
「あっ! いや、綺麗だ。ルリも綺麗だが、クルシュもまた別の美しさがある」
「そうか! よかった」
嬉しそうに笑顔になってくれる。元々、肌を見せることに恥じらいを持っていないクルシュだったが、流石に恥ずかしいのか、モジモジとしている。
「どうすれば?」
「そのままご主人様に抱きついてください」
「ああ!」
後ろからルリが、前からはクルシュが俺を抱きしめて、体を洗ってくれる。
ルリの豊満な柔らかさが背中に当たり、クルシュのぎこちなく張りのある体が正面から寄せられる。
「本当にありがとう、二人とも」
彼女たちの柔らかい感触が疲れた筋肉をほぐしていくたび、心まで癒されていくようだった。一方で、クルシュは少し照れながらも、俺の腕や肩をしっかりと洗ってくれている。
「ソルト、力を入れすぎてないか? 肩、すごく硬くなってるぞ」
「確かに、緊張していたのかもな…戦闘中はどうしても力が入ってしまう」
クルシュも洗うことに慣れてきたのか、筋肉の張りを指摘する。俺は少し照れ笑いを浮かべながら答える。
「よし、それじゃあもう少し力を入れて…こうやって、ほぐしていくと楽になるだろう?」
クルシュが強めにマッサージをしながら、俺の肩を丁寧に揉み解してくれる。
「ご主人様、こちらも綺麗に洗っておきますね」
ルリも手を動かし続け、泡を立てながら体の隅々までしっかりと洗ってくれる。
「本当にありがとう。こんな風にしてもらえると、すごく癒されるよ」
俺は二人の心遣いに感謝しつつ、リラックスしてお湯に浸かった。
しばらくの間、二人は静かに俺の体を洗い続けてくれた。お湯の音と、彼女たちの優しい手の感触だけが静かに響き、心から疲れが取れていくのを感じた。
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