第128話 古代神殿攻略

 古代の神殿の内部に足を踏み入れると、静寂とともに厳かな雰囲気が全身を包み込んだ。


 どこか神聖な雰囲気を残しているかと思ったが、結局ここもダンジョンとかして、死属性の力が充満している。


 薄暗い空間に差し込む光はわずかで、壁にはかすかな光を放つ石が埋め込まれている。冷たい空気が肌を刺すように感じ、神殿全体がまるで時を止めたかのように静かだ。


「すごい…本当に古代の神殿なんですね!」


 メイが感心したように呟く。目を輝かせているが、その声には緊張が隠せない。彼女の役目は偵察と罠探知などがあるので、周囲への気配りを忘れていないのだろう。


「みんな、気を引き締めて行こう。この神殿はただの遺跡じゃない。何かが私たちを見張っているような感覚があります」

 

 俺たちの中で一番感覚が鋭いルリの指摘に緊張感が走る。


 メイとルリを先頭に、後方はクルシュが防御を固め、俺の横にアオが護衛としてついている。


 俺たちは慎重に神殿の奥へと進んでいった。


 広い回廊のような空間が続き、所々に古代の彫像や碑文が刻まれた柱が並んでいる。だが、ここには異様な気配が漂っていた。


「主様、この先に魔物の気配がします。何かが動いているの…」


 アオが警戒心をあらわにして、俺の少し前へと出た。


 彼女の敏感な感覚は、この不気味な場所で一層鋭くなっているようだ。


 その瞬間、空気がピリッと緊張感を帯びた。


 暗闇の中から、不気味なうめき声が聞こえ始めた。神殿の奥からゆっくりと現れたのは、レイスと幽体のゴーストたちだ。怨霊のような姿をした死属性の魔物たちだった。暗い霧のような体を持ち、目には赤い光が宿っている。


「来たな…! みんな、準備だ!」


 俺は短剣を抜いて、仲間たちに指示を飛ばした。


「死属性の魔物か…厄介だな」

「クルシュ、俺と君で倒すぞ。三人は援護を頼む」

「わかった!」


 クルシュが剣を構え前に出る。


「アオ、無闇に近づかないで! 死属性の攻撃は体を蝕むわ」


 ルリがアオの襟首を掴んで、下がらせる。だが、その習慣にレイスが二人に襲いかかった


「くっ!?」


 ルリがアオを庇って肩口に傷を負う。


「ルリ! ホーリーヒール!」


 浄化と回復を同時に行う。服が破けて、ルリの大きな胸がさらされる。


「大丈夫か?」

「申し訳ありません。ご主人様」

「お母さん。ごめんなさいなの!」

「いいのよ。アオ。あなたが無事で良かったわ」

「二人とも無事で良かった」


 こちらを傷つけたkとおでレイスたちは静かに漂うように近づいてきたが、次の瞬間、鋭い叫び声を上げて一気に襲いかかってきた。


『『『GYAAAAAA』』』


 まるで空気を切り裂くように素早い動きで、闇に包まれた手を伸ばしてくる。


「聖属性魔法よ。死属性の魔物を祓いたまえ! ホーリーアロー!」


 俺との相性は悪くない。一歩後ろへ下がりながら、魔法を放った。


「はああ!!!」


 クルシュが気合と共に剣を振るって、ゴーストを薙ぎ払う。


「我々も火よ!」


 ルリもハルバートを振るって、ゴーストたちを牽制して距離をとる。


『GYAAAAA!!!』


 聖属性の魔法を受けたレイスが悲鳴を上げる。


 物理攻撃のダメージは通りにくいが、聖属性魔法は最も効果的にレイスたちを倒すことができる。


「ご主人様、我々の武器にも聖属性の付与をお願いします!」


 ルリがハルバートを構えて、両手を空へと掲げた。


「聖なる光よ、我らを守りし輝きとなれ──『ホーリーエンチャント』!」


 俺が呪文を唱えると、眩しい光が彼女たちの武器へ放たれた。


 神殿の中を照らすその光は、闇に包まれていたレイスたちを直撃し、怯んだようにうめき声を上げた。


「効いています! さすがはご主人様です。聖属性の魔法が有効です!」


 ルリの発案で、効果を出すことができた。


「さすがルリ! じゃあ、私も負けてられないな!」


 クルシュの剣にもエンチャントがなされて、さらに無属性の魔力と合わさって、聖属性の力を宿した一撃を繰り出せる。


 彼女の剣が輝き、レイスを貫いた瞬間、その体は霧散して消え去った。


「やっぱり、聖属性にはかなわないってことだな!」

 

 クルシュは自信満々に笑った。


「私も手伝います! ソルトさん、援護します!」


 メイがすばやく動きながら、遠距離から聖属性魔法がエンチャントされた矢を放つ。彼女の矢が次々とゴーストを貫き、その体を破壊していく。


「主様! 私もやるの!」

 

 アオが素早く爪を伸ばして、ゴーストを切り裂いていく。


「聖なる風よ、闇を払え!『ホーリーウィンド』!」


 俺の聖属性魔法が、レイスたちを吹き飛ばす。


 光の粒がレイスたちの体を削り取っていき、彼らは消滅していった。


「よし!これで…終わりだ」


 俺が息をつく間もなく、さらに奥から新たなレイスたちが現れた。今度はさらに大きな、圧倒的な力を持つ個体が含まれている。


「まだ終わらないか…!」


 俺は短剣を構え直し、再び前に出た。


「みんな、もう一踏ん張りだ! この敵を突破して、奥に向かうぞ! これだけのレイスが出るってことは何かが守られているはずだ」

「「「「はい!!!」」」なの」


 俺の声に応じて、仲間たちも再び立ち上がった。


 レイスたちを倒し切って、俺たちが神殿の奥へ進むと、そこには祭壇があり、王冠を被ったレイスが待ち構えていた。

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