第125話

 セリーヌ団長の告白を受け、さらにクルシュからも思いを伝えられた俺は、一人ではどうすることもできず、悩んでいた。


 騎士である女性たちからの信頼を得るのはありがたいが、それが好意として向けられているとなると、話は別だ。


 俺はそんな複雑な気持ちを抱え、誰かに相談せずにはいられなかった。


 ずっと支えてくれているルリに話を聞いてもらうことにした。


「ルリ、少し話があるんだが…いいか?」


 彼女はいつものように優雅に微笑んで頷いた。ルリの落ち着いた態度に、少しだけ心がほっとしてしまう。


 夜の皆が寝静まった時間、ルリはネグリジェ姿で俺の部屋へとやってきた。


 青い髪は美しく、その爆乳は慈愛に満ちている。


「ご主人様からお呼びいただけるなんて光栄です。どんなお話でしょうか?」


 俺は彼女と一緒にベッドに座り、これまでのことをすべて打ち明けた。


 クルシュとセリーヌからの告白、そしてそれに対して、どう対処すべきかわからない自分の気持ち。


 それを聞き終わると、ルリは目を細め、何かを思い出したように楽しげに笑い始めた。


「ふふふ、ご主人様は相変わらずですね」

「えっ?」

「だから言ったではありませんか。あなたさまはこれから世界に必要とされる存在です。そして、多くの女性があなたに惹かれるのも無理はありません」

「惹かれるって」

「私が惹かれたご主人様は、女性にとって望ましい紳士的な態度と、聖属性の魔法、そして勇敢に戦う姿はとても素敵な方です」


 ルリは嬉しそうに笑いながら、俺に向かってにっこりと微笑んだ。その笑顔には、俺をからかっているような、けれども本心からの愛情が感じられた。


「…でも、どうすればいいか分からないんだ。二人とも俺を本気で思ってくれているし、俺がどう応えるべきか悩んでいる」


 ルリはその言葉に、さらに楽しそうに笑みを浮かべた。


「ご主人様、あなたは少し自分の価値を低く見積もりすぎていますよ。それに…私が何度も言ったでしょう。あなたさまは変態紳士になりなさい、と」

「変態紳士…か」


 俺は少し恥ずかしくなって、ルリの言葉に反応した。だが、彼女は真剣な眼差しで俺を見つめ、さらに続けた。


 ラーナやフレイナと触れ合う際に、確かに俺は変態紳士であろうとした。


 だが、旅をする間に、そんな機会は少なくて、事件に向き合って女性との触れ合いはなくはないが、自分の力を披露することなどなかった。


「そうです。あなたさまは、女性たちの気持ちをすべて受け止め、愛されるべき存在なのです。彼女たちの愛を拒む必要はありません。もっと自信を持ってくださいませ」


 俺はその言葉に少し戸惑った。確かに俺は、多くの女性から好意を寄せられてきた。喜ばしいことではあるが自分では自信を持つことなどなかった。


 それをすべて受け入れるべきなのかどうか…まだ判断がつかない自分もいる。


 そんな俺を見て、ルリは突然、そっと俺に近づいてきた。そして、何も言わずに俺の頬に優しく手を添えると、唇を重ねた。


 鼻腔にルリの甘い香りが広がっていく。


 驚きで一瞬身体が固まったが、ルリのキスは優しくて、彼女が本当に俺を心から愛してくれていることが伝わってきた。


「ご主人様、私たちはあなたのことを心から愛しております。アオもメイも、いつでもあなたから呼ばれるのを待っているのですよ。ですから、全てを受け入れる方であってくださいませ」


 そう言ってルリは俺の肩に手を置き、そのまま押し倒した。ベッドに横たわった俺の上に彼女がのしかかり、その美しい瞳で俺を見下ろす。


「ルリ…」

「ご心配には及びません。ご主人様は誰にも迷わず、すべてを受け入れ、女性たちを幸せにしてあげる存在なのです。だからこそ、あなたさまには自信を持っていただきたいのです」


 ルリの言葉は、まるで俺の心を見透かすかのように真っ直ぐだった。


 彼女の柔らかい微笑みと優しい言葉が、俺に自信を与えようとしているのがよくわかる。だが、その大胆な行動にはまだ少し戸惑っていた。


「俺が…全てを受け入れる?」

「そうです。そして私たちは、そんなご主人様を愛しているのです」


 ルリはもう一度、俺に優しく微笑んだ。その微笑みには、俺を導こうとする彼女の強い意志が込められていた。


 ネグリジェの肩紐が外されて、その大きな胸がさらされる。


 俺の顔はルリの柔らかな胸に包み込まれて、ルリが耳元で囁いた。


「ご主人様、私を好きにしてください」


 ルリの言葉で、スイッチが入った俺はルリの細いことに腕を回して体勢を変えてルリを押し倒した。


「いいんだな?」

「もちろんです。ご主人様のリミッターを外してください。全ての女性のために」


 俺は、自分の行いを制限していたこと、そして自分に自信を持てなかったことを、今ここで改めて思い知らされた。


 そして、ルリほどの素晴らしい女性が、俺を励ましてくれている。


 なら、俺がするべきことは決まっている。


 悩むことなど何もない。


 全ての女性を幸せにするだけだ。


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