第107話

《side メイ》


 朝の光がロッジの窓から差し込み、部屋を温かく包んでいる。


 私は目を開けて、隣に眠るソルトさんの顔を見つめました。

 彼は静かに眠っていて、顔には疲れが滲んでいます。


 このような形で気持ちが通じてしまうなんて思いもしませんでした。


 だけど、私の心に後悔はありません。

 本当はソルトさんの気持ちを振り向かせて、正式に私を好きだと言ってからしてほしいと思っていました。


 でも、ソルトさんのその表情は安らかで、幸せそうな顔をしてくれています。

 そんな顔を見ているだけで幸せを感じてしまうので、私もちょろいですね。

 

 彼が私たちのために尽力してくれたこと、その全てが今ここに感じられる。


 私はお腹を摩る。今なら、少しだけ、お母さんが好きな男性と浮気をした気持ちがわかるかもしれない。あのお父さんよりも好きな男性と過ごしたいって思うもの。


 それにしても昨晩は、ナイトメアの闇の力に囚われ、私たちは体中が火照り、耐え難い苦痛に見舞われた。


 あの時の私は快感が抑えられない状態で、今思い出しても体が熱くなります。


 そんな中でもソルトさんの太い腕が私たちを見捨てず、一晩中治療を続けてくれました。彼の逞しい体と優しさは、私たちを必死に救ってくれようとしてくれました。


「ソルトさん、本当にありがとう…」


 小さく呟いてキスをします。


 その私の動きに気づいたのか、隣で眠っていたアオが目を覚ましました。

 彼女もまた、昨晩のソルトさんとの戦いで疲れ果てていたのか、その顔には幸せそうな表情を浮かべています。


「メイ、おはよう。昨日のこと、本当に大変だったの」


 アオの言葉に、私は頷きながらソルトさんの顔をじっと見つめました。

 彼がどれだけの身を削って私たちに尽くしてくれたか、そのすべてがここにある。


「うん、でもソルトさんのおかげで、私たちは救われたわ。本当に感謝しないとね」

「そうだね。主人様、大好きなの!」


 アオは素直に気持ちを口にできるのが羨ましい。

 私はつい、恥ずかしくて言えない時がある。

 

 ソルトさんの寝顔を見つめながら、彼に感謝の気持ちを伝えたいという思いが胸に湧き上がった。


「アオ、ソルトさんに私たちの気持ちを伝えたいね。どれだけ大切な存在なのか、どれだけ感謝しているか」


 アオは微笑みながら頷いた。


「そうだね、メイ。主人に好きってちゃんと伝えようなの!!」


 ソルトさんがいなければ、こうやって一緒に旅をすることができた。

 私は彼に感謝してる。


 今は凄く幸せで楽しい。


 本当は、父のことがあって、私は家族として騎士団の中でも心苦しい日が続いていた。だから、ソルトさんが旅に出る際に、ついていきたいと思った。


「ソルトさん、あなたのおかげで、私は幸せです! ありがとう、本当に大好き」


 涙が溢れそうになるのを堪えながら、私は彼の手を取って優しく顔に当てました。

 彼が目を覚ましたとき、その感謝の気持ちをしっかりと伝えたい。


「ソルトさん、これからも一緒にいてください。私たちはあなたを必要としている」


 心の中でそう誓いながら、今の一瞬一瞬が、私にとってかけがえのない時間だった。


 ♢


《side アオ》


 夜は凄かったの! 


 お母さんが教えてくれたことを主人としようと思っていたけど、全然気持ちが抑えられなかったの。


 疲れて眠ってしまって、目を開けると、隣にはメイが静かに主人の寝顔を見つめていたの。


 主人の顔には疲れが滲んでいたの、主人が私たちのために頑張ってくれたの。


 一晩中、私たち二人を相手にして、主人は凄かったの。

 凄く気持ちよくて、もっと欲しくて体も心も凄く嬉しくて楽しかったの。


「メイ、おはよう。昨日のこと、本当に大変だったの」


 私の言葉に、メイは嬉しそうに頷きながら主人の顔をじっと見つめていたの。


「うん、でもソルトさんのおかげで、私たちは救われた。本当に感謝しなければならないね」


 主人の温かい手に触れられることが凄く好きなの! 凄く安心感があるの。


 主人がいてくれたから、お母さんに会えて、クルシュさんやメイとも会えたの。

 いっぱい頭を撫でてほしいの! いっぱいギュッてしてほしいの!


「メイ、主人に私たちの気持ちを伝えたいの。主人がどれだけ大切なのか! どれだけ大好きなのか、いっぱい言うの!」


 メイは微笑みながら頷いた。


「そうだね、アオ。ソルトさんにちゃんと伝えよう。私たちがどれだけ彼を愛しているか」


 主人は凄く強くて優しいの。


「主人、私はずっと一緒にいるよ。本当に大好きなの!」


 涙が溢れそうになるのを堪えながら、私は主人の手を優しく握りしめた。

 主人が目を覚ましたとき、その感謝の気持ちをいっぱい伝えたいの。


「メイ、メイのことも大好きなの」

「なっ、何よ。私もアオのこと好きよ」

「うん! だから一緒に主人を支えるの」

「いいの?」

「えっ?」

「私も一緒でいいの?」

「もちろんなの! お母さんが言っていたの。主人は変態紳士だから、たくさんの女性を幸せにするの!」

「何よそれ、ふふ。うん、でも嬉しい」


 メイも、クルシュさんも、お母さんもずっと主人様と一緒にいるの。


 みんなで家族になれたら嬉しいの! 主人をみんなで幸せにするの!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る