第105話
《side ソルト》
アザマーンの街を後にして数日が経った。
俺たちは王都への道を進みながら、道中で出会う人々を助けたり、魔物を討伐したりしていた。道は平和に見えるが、時折不穏な気配が漂っている。
ある日の夕暮れ、俺たちは小さな村に立ち寄った。
村の人々は疲れ切った様子で、何かに怯えているようだった。
「すみません、この辺りで何かあったんですか?」
俺は村の長老に声をかけた。長老は深い溜息をつきながら話し始めた。
「実は…最近、この村の周辺で奇妙な出来事が続いているんです。夜になると、黒い馬のような姿をした魔物が現れて、幼い少女を連れ去ってしまうのです」
「黒い馬の魔物が少女を連れ去ってしまう?」
俺は冒険者ギルドで、聞いた内容を思い出す。
魔物の中には特定条件の人間を襲う魔物がいると言う。
黒い馬の魔物で、少女を狙うと言う魔物に、俺は心当たりがある。
ナイトメア。
悪夢の悪魔と呼ばれ、処女ばかりを狙う魔物だ。
俺は仲間たちと顔を見合わせた。
ナイトメアは闇の力を操り、人々に悪夢を見せる恐ろしい魔物で、現れると女性を連れ去ってしまう。
「ソルトさん、私たちがなんとかしないと」
「そうだな。私も村のピンチを救いたい」
騎士であるクルシュと、メイは村のピンチを救いたいと言う。
彼らの心は冒険者として旅をしていても高潔な騎士なのだ。
「ああ、わかった。できることをしてみよう」
メイが心配そうな表情で俺に言う。
「そうだな。村の人々を守るためにも、ナイトメアを討伐しよう」
俺たちは村の人々に協力するため、ナイトメアの出現する夜を待つことにした。
♢
夜が更けると、村の周囲に不気味な静寂が広がった。
俺たちは武器を手に取り、警戒しながら見張りを続けていた。
「ご主人様、現れたようです」
気配を誰よりも早く気づいたルリが教えてくれる。
「ソルトさん、あれ!」
メイが指差す方向には、黒い影が揺れていた。
闇の中から現れたのは、巨大な黒い馬の姿をしたナイトメアだった。
目が赤く輝き、その姿は恐ろしいほどの威圧感を放っていた。
「皆、ナイトメアの闇魔法がどんな効果を発揮するのかわからない! 気をつけて行くぞ」
「「「「はい!」」」」
俺は仲間たちに号令をかけ、ナイトメアに向かって対峙した。
「ホーリースラッシュ!」
俺は先制攻撃を仕掛ける聖属性の光の刃を放ち、ナイトメアの体を斬り裂いた。
しかし、ナイトメアは俺の攻撃を避けて、姿を眩ませて。
紫色の霧が、辺りを包み込んだ。
「くるぞ!」
ルリがバトルアックスで霧を払いのけようとするが、紫の霧は、俺とルリを避けるように三人へ纏わりついていく。
「三人を狙っているのか?」
「なるほど、失礼な魔物ですね!」
ルリが怒りを表して、地面にバトルアックスを叩きつけて、霧を吹き飛ばす。
「ふん!」
ルリの魔力を含んだ一撃によって、ナイトメアが作り出した霧が晴れる。
霧が晴れた中では、クルシュさんが無属性の身体強化でナイトメアに立ち向かっていた。
メイとアオは紫の霧を吸い込んでしまったようで、服を脱いで、体を火照らせるように顔を赤くしていた。
「メイ、アオ! ホーリーバリア!」
俺は二人を救うために、バリアを張ってナイトメアの魔力を浄化するように聖属性魔法を使う。
ナイトメアの闇魔法は、強大で特に経験のない女性に対して絶大な力を発揮している。
「ルリ」
「はい。わかっています。失礼な魔物に私も腹が立ちましたから、絶対に仕留めます」
ルリは、静かな怒りを持って、ナイトメアに好戦的な姿勢を見せて、飛びかかっていく。
クルシュさんは経験がないはずだが、無属性という特殊属性のおかげで効果が薄かったようだ。
「はっ?!」
メイとアオの治療を続けながら、ルリのバックアップをするために、聖属性魔法の効果範囲を広げてナイトメアに対抗する。
「ソルトさん! 苦しい」
「主人様、チュッチュッしたいの!」
浄化魔法を施しているが、ナイトメアに犯された二人は、発情したように俺の体を求めてくる。
ロケットオッパイに、小柄な体をしたメイが正面から抱きついてきて、高身長で成長途中の巨乳を持つアオが後ろから首筋にキスを繰り返していた。
二人の美少女から、迫られるご褒美のような、ヤバい状況にナイトメアの恐ろしさを実感する。
ルリが全力でナイトメアに向かって突撃していく。
クルシュさんは、その援護に周り、俺はできるだけ聖属性の力を最大限に引き出し、ナイトメアの力を削ぐ。
ナイトメアの体をルリのバトルアックスが貫き、闇の力が一瞬にして霧散していく。ナイトメアは苦しみの声を上げながら、闇の中に消えていった。
「やったか…?」
息を整えながら、俺は仲間たちの無事を確認する。
皆、少しの疲労はあるものの、無事に戦いを終えた。
「ソルトさん〜!」
「主人様〜!」
「これはかなり厳しいですね」
浄化をかけても二人の症状は改善されない。
「二人はどうしたのだ?」
「クルシュさん、もう少し勉強をしましょう。ご主人様、報告は私とクルシュさんがしておきます。二人のことをお願いします」
「えっ?!」
「変態紳士たる者。どんなエッチなことにも挑める心構えが必要です」
ルリはそれだけ言うとクルシュさんを連れて立ち去っていく。
俺はメイとアオを連れて村から少し離れた場所にある、狩人の古屋へとやってきた。
山で魔物を討伐するように建てられたロッジのような建物に、二人を休ませるために連れて行く。
すでに体が暑いと言って、二人の服は下着だけになっている。
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