第95話

《sideアオ》


 最近、主様は凄く忙しいの。


 ルリ母様はたまにお話をしているけど、私と遊んでくれる時間がほとんどないの。


 クルシュさんとメイと三人でいることが多いけど、主様にもっと甘えたいの。


 主様が優しく私の頭を撫でてくれると、心がふわふわと温かくなるの。

 フェンリル種は誇り高いってお母様はいうけれど、私は主様の前では甘えたくなっちゃうの。


「主様、アオね。今日もいっぱい頑張ったの。だから、もう少しだけ撫でてほしいの」


 だから、主様が部屋に帰ってきたところにお願いすることにした。


 主様はとても優しくて柔らかく微笑んでくれたの。


「ああ、いいよ。いつも頑張ってくれてありがとう。今後はアザマーンの領都に行くから、そこでもよろしく頼むね」

「はいなの!」


 主様の手が私の耳の後ろを掻いてくれると、思わず尻尾がぴこぴこと動いちゃうの。それが恥ずかしくて顔を隠すけど、主様は少しだけ意地悪な顔をして、ゆっくりと優しく撫でるの。


「んんん!」

「ふふ、アオは反応がかわいいな」

「かわいいの?」

「ああ、アオは可愛いよ。素直で一緒にいてこちらの方が癒される」

「ねえ、主様。私、もっと強くして」


 ついついおねだりして、主様をベッドに押し倒すの。

 主様の胸に顔を埋めて、頭を撫でてもらうと本当に幸せな気持ちになるの。


 クンクンしながら、頭を撫でてもらうのは幸せ。


「主様を守りたいの。でも、今はこうして甘えていたいの」

「アオは、欲張りだね」


 主様の温かい手のひらが私の頬に触れると、安心感が胸いっぱいに広がるの。

 いつも優しくて、私のことを大切にしてくれているから、ずっとそばにいたいって思うの。


 だけど、最近は主様から別の女の匂いもするの。


 それは少しだけ嫌なの。


「主様、大好きなの。これからもずっと一緒にいてほしいの」


 甘える私を見つめる主様の瞳には、優しさが込められているの。


 私はそれを感じるたびに嬉しくなるの。

 主様のために、もっと頑張るから、どうか見守っていてほしいの。


「ああ、俺もアオを可愛く思っているよ」


 主様は穏やかに言ってくれるの。

 

 その言葉に、私はさらに頑張ろうと思うの。

 主様に褒められると、まるで空を飛べるような気分になるの。


「ありがとう、主様」


 いっぱいいっぱい主様に甘えて、匂いを嗅いで主様の部屋を出たの。


 外にはルリお母様がいて、私が出ていくと主様はどこかに行ってしまったの。


「アオ、少し良いですか?」

「???」


 私はお母様に連れて行ってもらって大きなお風呂に入ったの。


 周りは獣人の女の人ばかりで、ハニー様が使っても良いと言っていた大きなお風呂なの。


「アオ、あなたは主様のお部屋で何をしていたのですか?」

「えっと、いっぱい頭を撫でてもらって、匂いを嗅いでいたの」

「ハァ〜、体は立派に成長しているのに、心は幼いまま。それもまた可愛くはあるでしょうが、そろそろ教えなければいけませんね」

「うん???」


 お母様は困った顔をして、私を見ているの。


 何かいけないことをしたのかと思って怖くなるの。


「良いですか? アオ」

「はいなの!」


 お風呂場の温かい湯気が立ち込める中で、お母様は髪を優しく洗ってくれているの。


「女性と男性は仲良くなると赤ちゃんを作るようになります。もちろん、好き同士だからです」

「はいなの」

「ですが、ただ好きだというだけでは赤ちゃんはできません。そこにはお互いに肌を合わせ、相手を気持ち良くさせる必要があるのです」

「気持ちよく?」


 今日は私はとても気持ちよかったの。

 頭を撫でてもらって、幸せだったの。


 だけど、主様は気持ちよかったのかな? お互いにできているかな?


「そうです。そして、男性にはあって、女性にはないものが体の特徴として存在します」

「男性にはあって、女性にはないもの?」

「はい。男性の股間には筒があり、女性の股間には穴があります」


 お母様に言われて、私は自分の体を触って穴を確認するの。


「そして、女性には胸の膨らみはありますが、男性には膨らみはありません」

「そうなの!」

「はい。胸や穴を触ると、女性も気持ちよく感じるように、男性は筒を触ると気持ちよくなるのです」


 ルリお母様が真剣な表情で、色々と教えてくれるの。


「そして、筒を迎え入れることを体で愛し合うと言います。そして、男性が気持ちよくなると白い液体を放出するのです。それを体内に取り込むことで赤ちゃんが作られるのです」

「そうなの!」


 全然知らなかったの! 


 今日から、始まるの!


 主様を気持ちよくさせる特訓開始なの!


「良いですか、アオ。最も大切なのは雰囲気です」

「雰囲気?」

「そうです。あなたは少し子供っぽくて、ご主人様はその気になれないです。ですから、雰囲気を作ることから学んでいきます。あなたはスタイルも良くて、巨乳。さらに若さもある。武器をたくさん持っているのですからね」

「武器なの?」


 難しくてよくわからないけど、お母様に教えてもらって、主様と赤ちゃんを作るの!


 きっと主様は赤ちゃんも、私も、もっといっぱい甘えさせてくれて優しくしてくれるの。


 そうしたらいっぱい一緒にいられるの!


「ふふ、恐ろしい子。天然で男性を落とす才能に溢れているわ」


 お母様が楽しそうだから、それも嬉しいの。


 早く旦那様を気持ちよくさせるために頑張るの!

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